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Q&A
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設立費用と取得費用の資本計上と償却
設立費用と取得費用が資本計上され、5年間にわたって償却される場合における、INREV NAVを決定する際の調整の根拠は何か?不動産ポートフォリオがすでに適正価額で純資産価値の計算に含まれていることを考えると、これらの調整は事業体の純資産価値を膨らませるだけではないか?
INREV NAVの当初の主要な目的は、同業他社とのビークルのパフォーマンスの比較に役立つとともに、投資家レベルでの投資口への投資の会計上の評価に役立つことである。
2007年の当初のINREV NAVプロジェクトを通じて、いくつかのワークショップ、インタビュー、詳細文書のプロセスを経た後に、比較可能性を高めるために、オープンエンド型ビークルおよびクローズドエンド型ビークルの双方に対して1つのINREV NAVを適用することが決定された。一部の調整について、提案された処理は特定の種類のビークルの是正措置に必ずしも結び付かないとの指摘もあった。しかし、異なる種類のビークルのパフォーマンスを測定する際に(例えば、INREVインデックスなど)、すべてのビークルの調整を同じ方法で処理すれば比較可能性は増すだろう。
設立費用/取得費用の資本計上と償却の当初の根拠は、ビークルがこれらの費用の経済的メリットを得る期間をよりよく反映させることである。これはパフォーマンス測定および投資評価の両方に関してである。
このことは、IFRSに従った場合、設立費用はビークルの開始/立ち上げ後速やかに課税されること、また適正価額モデルに従った場合、投資不動産の取得費用は取得日以降の最初の測定において適正価額が計算される際に実質的に収入に対して課税され、いわゆるJカーブを描くという事実によって促された。
パフォーマンス測定
2007年の分析結果に基づき、INREVの意図は、Jカーブのマイナス効果を軽減するために、パフォーマンス測定(INREVインデックスなど)に調整後純資産価値を使用するというものであった。パフォーマンス測定について、異なるビンテージを用いて異なる種類のビークルが比較されるか、または1つのインデックスでベンチマーク化される場合、設立費用と取得費用の処理は、ビークルの運用期間の最初の数年間(取得段階)において、1回限りの費用として処理され、このことはベンチマークに比べてその特定ビークルのアンダーパフォーマンスにつながる。売却段階までの期間については、新規ビークルについて発生したJカーブの効果は全体のパフォーマンスのベンチマークを引き下げるため、ベンチマークを上回ることはさらに容易である。売却段階の間、売却費用の1回限りの効果はビークルの個々のパフォーマンスにマイナスの影響を与えるため、ビークルは一般的にベンチマークを上回る。
投資ビークルの投資口の評価
設立費用と不動産取得費用の償却により、いわゆる「Jカーブ」の効果は投資ビークルの投資口の評価において除去することができる。一部の投資家は評価に調整後純資産価値を用い、当時の別の投資家は、最初の3年間について投資を費用計上していた。 不動産価値の上昇によってIFRS NAVが当初のコスト価格を上回るようになって初めて、IFRS NAVを使用するようになった。
さらに、投資家が、かかる費用は価値を持ち、所期投資の一部を構成するとみなされると考えているとの指摘もあった。これらのコストは、賃料収入からの直接リターンを手にするために、また、できれば決済時に価値の上昇により間接リターンを手にするために、直接発生した。このリターンは投資の保有期間全体を通じて、投資家の元に戻ると考えられる。
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繰延税金債務に関する調整の計算
この調整はどのように計算するべきか?ポートフォリオベースまたはその他の累積ベースで、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される、繰延税金債務の固定比率(50%など)として計算するのは適切か?
この調整の根拠は、IFRS(および他の多くのGAAP)のもとで、繰延税金債務が名目法定税率で評価されることである。ビークルが期待する繰延税金の精算方法は通常、考慮に入れない。したがって、これに基づいて計算される繰入額は繰延税金の適正価額を表すものではない(実際の金額は、不動産資産の売却時に明確にされることが期待される)。
債務の適正価額の調整を計算する際、想定した決済方法に基づいて、調整は資産ごとに評価されるものとする。
それゆえ、各資産について、計算日において不動産にとって適切な市況ならびに意図する売却方法および資産の税構造に基づいて、最も可能性が高い売却形態(例えば、資産取引や株式取引)について考慮するものとする。まだ実現していない市況の将来の変化に基づく売却方法の変更の想定は、INREV NAV調整を計算する目的においては、主観的に過ぎると考えられる。該当する場合、売却に関連する事業体の歴史も考慮するものとする。次に、取引に課される適用税率ならびに評価された決済の方法に従って、繰延税金債務の適正価額を計算する。IFRSはバランスシートの日付時点で成立したまたは実質的に成立した税率のみを使用することを認めている。 一方、バランスシートの日付以降に成立したまたは実質的に成立した税率はINREV NAV調整を計算する目的で使用することができる。
この計算においては、承認される可能性が高い持分取引を通じて売却される不動産の売却価格の割引額を考慮に入れるものとする。例えば、不動産を所有する事業体の持分の売却は非課税(または最低税率)となるが、不動産を所有する事業体内における潜在的なキャピタルゲインについて、売却価格で控除が行われる場合などが考えられる。INREV NAV調整を計算する場合、売却取引において達成されそうな税金に加えて、この金額を考慮に入れるものとする。
それゆえ、これに基づいて上記に概説した固定比率のアプローチは、ポートフォリオの各不動産の繰延税金債務について必要とされる調整の合理的な推計を表さない限り適切でないと考えられる。
調整を二重に計算することを避けるために、調整の計算の全部または一部が、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される繰延税金債務にまだ含まれていないことを確認することが必須である。不動産の査定に関して、譲渡税についてこの調整とINREV調整の間に二重の計算がないことを確認するよう注意を払うものとする。疑義を避けるために、譲渡税は繰延税金の調整の計算の範囲内に含めないものとする。
それゆえ、この計算の主観的かつ複雑な性質を踏まえて、マネジャーが、計算の方法論について正式な社内方針を文書化し、それを引き続き適切なものとするために、マネジャーが(例えば、税法や市況の変化について)継続的に見直しを行うことが推奨される。全体的な所有構造、主要な前提、各国の広範なパラメーター、慣習的な最大税率(税構造がない場合)および適切な税率(%)など、全体的な税構造についての開示がなされるものとする。
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譲渡税に関する調整の計算
この調整はどのように計算するべきか?IFRS/現地のGAAPに従ってビークルの譲渡税の固定比率(50%など)で調整を計算するのは適切か?
想定した決済方法に基づく不動産評価に固有の譲渡税(および購入者の費用)の控除に対する調整の計算は、資産ごとに評価するものとする。
それゆえ、各資産について、不動産に関連する市況ならびに意図する売却方法、資産の税構造に基づく最も可能性が高い売却形態(資産取引または持分取引等)を考慮するものとする。該当する場合、売却に関する事業体の歴史や売手と購入者の間で合意した税負担の配分を考慮するものとする。これは繰延税金債務の調整の計算の根拠と同一の根拠である。不動産の適正評価において評価された売却方法が譲渡税(および購入者の費用)の引き下げをもたらす場合、INREV NAVを導き出す際にこの調整が行われる。ただし、二重計算を避けるために不動産評価にまだ含まれていない範囲内でのみ調整を含めるものとする。
この理由から、調整を計算する場合には、譲渡税およびその他の購入者の費用を別の構成要素として考慮することが重要である。いずれの場合も、同一の控除は適切でない場合がある。例えば、持分の取引による売却は譲渡税の引き下げにつながる可能性があるが、実際には、そのような取引を完了する上で求められる追加の法的支出や精査の必要性により、購入者の他の費用は増加する可能性がある。
それゆえ、これに基づくと、上記に概説した固定比率のアプローチは、それがポートフォリオの各不動産についての譲渡税と購入者の他の費用の双方について求められる調整の合理的な推計を表さない限り適切でなくなる。
それゆえ、この計算の主観的かつ複雑な性質を踏まえて、マネジャーが、計算の方法論について正式な社内方針を文書化し、それを引き続き適切なものとするために、マネジャーが(例えば、税法や市況の変化について)継続的に見直しを行うことが推奨される。金融情報の利用者が調整に関する計算の方法論を理解できるようにするため、計算する上でマネジャーが立てた主要な前提、マネジャーが予定している構造や市場環境に基づくこの追加価値の利用の仕方とともに、適切な開示を行うものとする。
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組合/合弁事業への投資
IFRS/現地のGAAP会計の中で事業体に関して計上される、事業体による組合/合弁事業への投資を評価する際に、INREVガイドラインをどのように適用すべきか? (持分法または比例連結を用いて)
INREV NAVの目的において、組合/合弁事業における事業体の保有持分の適正価額の経営陣によるベストの推定値を用いるものとする。投資の種類に応じて、これを査定するための評価方法について階層がある。
1. 活発な市場で投資が行われる場合には、計算日における指値で適正価額を計算するものとする。
2. ビークルへの投資で、契約により定められた純資産価値による償還の権利が存在する場合には、この純資産価値がINREVガイドラインと一貫性があるかどうかを問わず、保有持分の評価にこれを用いるものとする。
3. 投資がクローズドエンド型ビークルまたは同様の事業体への投資である場合で、固定された償還価格または上場価格が存在しない場合、INREVガイドラインと合致するように保有持分の適正価額を見積るものとする。
4. 投資のINREV NAVを計算する上で十分な情報が入手できない場合は、例えば最近の比較可能な取引があればそれに基づく見積などの別の評価技法を用いるものとする。
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ポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウント
例えば独立鑑定人の評価報告書にポートフォリオは全体として各不動産の個別鑑定価値にプレミアム/ディスカウントを追加/削除するという記述がある場合に、INREV NAVの計算にポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウントを含めるべきか?
ポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウントは、調整後INREV NAVに含めるべきではなく、また不動産評価のINREVガイドラインに従って、不動産の適正価額の中に含めてはならない。にもかかわらず、そのようなプレミアムまたはディスカウントを別途開示することが推奨される。
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満期保有デリバティブ
オープンエンド型ビークルについて、満期時にこれらの価値がゼロになるという理由から、デリバティブのヘッジのために時価評価を行う必要はないということは当てはまらないか?
クローズドエンド型ビークルとオープンエンド型ビークルの双方について、調整後INREV NAVはすべてのヘッジング・デリバティブを適正価額で反映するものとする。