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評価
不動産の価値は、その市場価格または適正価額とする。
国際評価基準委員会(IVSC)および欧州査定団体連合会(TEGOVA)は、市場価格を「各当事者が豊富な知識をもって、慎重に、かつ強制されることなく行動して行った適切なマーケティング後に、自発的な買手と売手の間の独立主体間取引において評価日に交換される不動産の推定額」と定義している。国際会計基準(IFRS)第13号に基づく国際会計基準審議会(IASB)の 適正価額の定義は、「測定日における市場参加者の間の秩序だった取引において、資産の売却時に受け取る金額、または債務を譲渡する際に支払う金額」となっている。
国際的な専門的評価基準に準拠するために、推定市場価格は、原則として未確定条項や特殊な前提に基づかないものとする。特殊な前提や未確定状況はすべて適切に開示されるものとする。
国際会計基準(IFRS)第13号に準拠するために、マネジャーは、市場価格の推定に用いられる主要な前提を支える充分な市場の証拠(市場で入手可能な場合)と比較値が外部鑑定人から提供されるよう取り計らうものとする。
鑑定人は、認知された国際的な専門的評価基準に準拠するものとする。
任命された鑑定人は、国際評価基準(IVS)、英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会(RICS)、欧州資産評価委員会(TEGOVA)などの広く認められている国際的な専門評価基準に準拠するものとする。
譲渡税および購入者のコストは不動産価値の決定時に控除される。
不動産の市場価格を決定する際、鑑定人は、出口戦略にかかわらず、通常市場で不動産を購入する際の取引コストについても同様に考慮するものとする。
外部評価報告書には、適用される評価データや市場の前提とともに、投資不動産、売却目的で保有する不動産、建設中および土地を賃貸借している不動産に用いられる評価方法に関する情報を含めなければならない。
評価方法には、とりわけ次のものが含まれる。
- 市場アプローチ - 市場比較方式に基づく
- 収益還元法 - 収益方式に基づく
- 収益率倍数または割引キャッシュフロー方法論に基づくその他の評価モデル
- 他の評価方法を適用できない特殊で稀なケースに限り、再調達価格から償却費を引いた方法(原価アプロ-チ)を用いることができる
建設中の不動産の評価は、以下に基づく。
- 完成時点の適正価額から完成までの費用を差し引く(残余アプローチ)
- 他の評価方法を適用できない特殊で稀なケースに限り、原価アプロ-チを用いることができる
不動産の建設の初期段階において、不動産の適正価額を取り巻く不確実性レベルは高い。これに関連して、残余アプローチを用いて決定される適正価額は、不動産に支払われる対価にその後の建設コストを加えた額に等しくなる場合がある。
例えば、適用される市場の前提に関する情報には、賃料動向や利回りの変更などの感度解析が含まれる。
INREV NAVの目的において、建設中の不動産の評価は適正価額として表されることに留意されたい。モジュール4 - INREV NAVガイドラインのINREV NAV調整を参照のこと。
外部鑑定人の交代制の指名の結果、市場価値に重大な変更が起きた場合、マネジャーは主要な基本的前提を評価し、かかる変更の妥当性について十分な開示を行わなければならない。
最後に、運用評価規制に基づいて合意された評価の方法論にかかわらず、適用される評価の方法論は市場価値につながるものでなければならない。
外部鑑定人による評価は、マネジャーの正式な内部評価レビューおよび承認プロセスに従うものとする。
マネジャーはビークルのNAVに含める前に、およびステークホルダーへの開示の前に、正確性のために全体的な評価をレビューし、内部で承認されるよう取り計らうものとする。レビューおよび承認プロセスは、公平かつ客観的で、一貫性があり独立したものとする。
レビューおよび承認には、何よりも以下の規制を含むものとする。
- マネジャーは、評価の時期と頻度が、運用規定で予見される評価方針に合致したものとなるよう取り計らうものとする。
- マネジャーは鑑定人の評価の前提が、使用される評価方法とともに、評価対象となる物件の性質に関して適切となるよう取り計らうものとする。
マネジャーのレビューは、年次報告の完全なレビューとは対照的に、報告の性質に合わせて適用することができ、毎月または四半期ごとの報告について高度なレビューを可能にする。
市場価値パラメーターについてマネジャーと不動産鑑定人の間で見解が異なる場合、これらのパラメーターを明確に説明し、開示しなければならない。
市場価値パラメーターについてマネジャーと不動産鑑定人の間で見解が異なる場合、これらのパラメーターを明確に説明し、開示しなければならない。これらの乖離および意見の相違の発生は非常に稀であり、その場合、オポチュニスティック投資家に関連すると予想される。例えば、特定の出来事の発生の可能性について、マネジャーおよび外部鑑定人が異なる見解を持つことになる(それは例えば、マネジャーが政府機関、潜在的な買手またはテナントと協議中であることによる)。もう一つの乖離の発生例としては、価値の変化に関する意見の相違に関連するものがある(外部評価が実際に行われた日から、報告書が作成された日までに相当な開きがある場合)。
そのような例外的な状況下では、マネジャーが決定する市場価格は貸借対照表の中で報告しなければならない。 これには外部鑑定人が導き出した市場価格からの乖離を正当化するための十分な開示が含まれる。
いかなる状況下であれ、評価調整を行う際にはマネジャーは適切な内部手続き(エスカレーション測定を含む)に従うものとする。