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オープンエンド型ビークルおよびクローズドエンド型ビークルの追加ガイダンス
本セクションでは、オープンエンド型ビークルおよびクローズドエンド型ビークルへのコーポレートガバナンスガイドラインの適用のバリエーションを取り上げる。ビークルは両者の性質を有することがあるために、実際にはこれらの2つのカテゴリーには明確な区別というものは存在しない。とはいうものの、純粋なオープンエンド型ビークルのガバナンスは、純粋なクローズドエンド型ビークルのガバナンスといかに異なると予想されるかを説明する。
投資家のための流動性の仕組み
一般的なクローズドエンド型ビークルの運用期間は固定的であり、投資家は通常、ビークルの運用期間の始まりに投資することを期待し、ビークルが資産を売却して手じまいするのに合わせて、ビークルの運用期間の終了前に投資を償還する。投資家はセカンダリーマーケットで投資を売却することができるが、通常そうすることは望まれていない。
対照的に、一般的なオープンエンド型ビークルの運用期間に制限はなく、新規投資家の持分の引き受け、および既存の投資家の持分の出口のための明確な仕組みが提供されている。その結果、ビークルの持分の引き受け、評価および償還を統治する規約は、全投資家および有望な投資家のために、投資家にとって想定される流動性とともに明確に規定されているべきである。そのような条件は、クローズドエンド型ビークルよりもオープンエンド型ビークルの方がより整備される傾向にある。
評価ガイドライン
オープンエンド型ビークルの持分の引き受けおよび償還の仕組みの重要性に鑑みて、適用されている評価原則および会計原則に特に注意を払わなければならない。これらの評価原則および会計原則は規約に明確に定め、そのような評価の頻度を含め、潜在的な投資家に開示するものとする。ビークルはINREV NAVの計算および開示に関するINREV NAVの方法論に従うものとする。規約の中で持分の引き受け価格(入札価格)および持分の償還価格(募集価格)がINREV NAVとどのように関係しているか説明するものとする。
意思決定の統治および意思決定における影響力
規約には、ビークルの運営において社外役員や投資家に委任される統治や影響力の程度を定める。ガイドラインのCG2.1.に定めるように、クローズドエンド型ビークルの場合、投資家はビークルの運用期間を通じてビークルにコミットする傾向にあり、投資家は特定の決定に対する統治または影響力を求めることがある。しかし、ビークルの投資戦略がもはや自分の投資目的に合致しない場合、投資家はビークルからの出口の機会を持つとの想定に立つと、投資家に提供される統治または影響力の程度は、オープンエンド型ビークルの場合に小さくなる。オープンエンド型ビークルの流動性は保証できないため、オープンエンド型ビークルの主要な投資家の権利を提供することは優れたガバナンスを構成する。
無過失解除条項
マネジャーの説明責任のひとつの表れは、規約における、マネジャーの無過失解除を定める条項の存在である。無過失解除条項は、クローズドエンド型ビークルに比べてオープンエンド型ビークルではそれほど一般的でない。 というのも、マネジャーがこれ以上ビークルを運営することを望まない投資家で、そのような仕組みが存在する場合にマネジャーの解除に投票すると思われる投資家は、償還を通じてビークルからの出口を取ることができるからである。オープンエンド型ビークルでは流動性が十分に存在しない場合もあるため、オープンエンド型ビークルにおいては、無過失解除条項は優れたガバナンスを構成する。
マネジャーによる共同投資
投資家の利益との調和のひとつの表れは、マネジャーが実行するインセンティブのひとつとして、ビークルに重要な共同投資を行うマネジャーの存在である。マネジャーのビークル運営の姿勢について懸念を抱く投資家に対して、実証された出口の仕組みがあるならば、マネジャーによる共同投資は、クローズドエンド型ビークルに比べてオープンエンド型ビークルでは投資家にとってそれほど重要でないことが多い。
パフォーマンスフィーの条件
投資家の利益との調和のひとつの表れは、マネジャーが投資家の利益を代表する形で行動することを動機付けるパフォーマンスフィー体系の存在である。パフォーマンスフィー体系はビークルのリスクプロファイルに合致するように定めるものとする。オープンエンド型ビークルは通常、オポチュニスティックビークルではなくコアビークルであり、マネジャーに対する報酬のバランスは、クローズドエンド型ビークルの場合に比べてより基本報酬のウェイトが大きい。また、入札価格/募集価格の仕組みは、発生したが未払いのパフォーマンスフィーを考慮するものとする。
利害衝突
AIFMDに特有の要件:オープンエンド型のオルタナティブ投資ファンドを運用するオルタナティブ投資ファンドマネジャーは、投資の償還を希望する投資家と、オルタナティブ投資ファンドへの投資を維持することを希望する投資家の間の利害衝突、およびオルタナティブ投資ファンドマネジャーの流動性の低い資産への投資へのインセンティブと、オルタナティブ投資ファンドの償還方針との間の衝突を特定し、管理し、監督するものとする。