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投資家のための行動(利害の調整および利害衝突の調整を含む)
マネジャーはビークルの仕組みを通じて、自身の利害が投資家の利害と真に一致していることを実証するものとする。
ビークルは、投資家に投資パフォーマンスを提供するように設立されている。マネジャーは投資家の利益を代表して行動することを期待される。可能な限り、ビークルの中にマネジャーの利害を投資家の利害と調整するための仕組みを構築することにより、これを保証することができる。
マネジャーがビークルに本格的に投資することによって利害の調整を実現できる場合がある。自己評価ツールのセクション6を参照のこと。しかし、INREVではマネジャーによる共同投資が適切でない場合があることを認識している。
利害の調整は報酬体系を通じて実現することもできる。これにはビークルのパフォーマンスに基づくマネジャーに対するパフォーマンスフィーの支払いが含まれる。ただし、これはマネジャーとダウンサイドリスクを完全に調整できない場合がある。パフォーマンスフィー体系には、マネジャーがビークルのリスクプロファイルに従って行動することを促すインセンティブを含み、マネジャーが提供することが期待される付加価値を反映したものとする。例えば、マネジャーのパフォーマンスに関連する報酬は通常、コアビークルについてはオポチュニスティックビークルの場合に比べて低くなる。自己評価ツールのセクション6を参照のこと。
その専門的行動が、運用を担当するビークルの投資戦略やリスクプロファイルに重要な影響を及ぼすようなマネジャーの従業員に対して報酬方針が求められる。報酬方針は健全かつ効果的なリスク管理を奨励するものでなければならず、ビークルのリスクプロファイルと一致しないリスクテイキングを推奨するものであってはならない。
規約には、重要な使用人がマネジャーを去る場合に適用される規定を盛り込むものとする。
マネジャーの特定の従業員がビークルの資料に使用人として記されている場合、規約にはこれらの使用人がマネジャーを去る場合に適用される特別規定が含まれていることが多い。この規定は、マネジャーがさらなる投資を行うことの禁止、さらには運用委託契約を失うまでに及ぶことがある。自己評価ツールのセクション6を参照のこと。
マネジャーおよびビークルは、ビークル内の利害衝突についての対処方法を示した書面によるプロトコル文書を策定するものとする。
マネジャーとビークルの間の利害衝突は多くの場合に発生する可能性がある。 それには次のものが含まれる。
- マネジャー(またはマネジャーもしくはマネジャーの関係者が統治する別のビークル)が資産の取得においてビークルと競合する場合
- マネジャー(またはマネジャーもしくはマネジャーの関係者が統治する別のビークル)がビークルから資産を購入またはビークルに資産を売却する場合
- マネジャーとビークル間の報酬体系などの取り決めを変更する提案がある場合
- マネジャーがビークルの持分を売却することを希望する場合
- 投資家が決定すべき事項と相反している場合
第三者サービスプロバイダーとの間でも利害衝突が起こる可能性が存在する。例えば、外部鑑定人がビークルに対して追加不動産サービスを提案する場合である。これは評価の独立性を損なう可能性がある。
利害衝突が発生する恐れがある場合、マネジャーはビークル、社外役員、投資家代理人に速やかに通知し、合意された利害衝突対策措置を講じるものとする。マネジャーは常に、関係者取引が独立主体間取引として行われるよう取り計らうものとする。例えば、マネジャー(またはマネジャーが運用する別のビークル)が資産の取得においてビークルと競合することを望む場合、マネジャーは全顧客の適切な取り扱いに関する方針とともに、かかる旨をビークルに開示するものとする。自己評価ツールのセクション6を参照のこと。
ビークルは、ビークルの持分の新規発行、償還、譲渡の際の投資家の取り扱い方法を定めるものとする。
ビークルの投資家による持分保有比率が異なる場合に、利害衝突が発生する可能性がある。マネジャーは、持分の新規発行、償還、譲渡を統治する規則を明確かつ透明性がある形で全投資家向けに定められるよう取り計らうものとする。かかる規則はINREV流動性ガイドラインに定めるガイダンスに一致し、公正かつ一貫性のある形で適用されるものとする。マネジャーが投資家の間で二次移転のサービスを提供する際、そして該当する場合には新たに資金を調達する際の役割において、利害衝突が生じる可能性がある。ビークルの立ち上げ時にマネジャーは、第三者取引プラットフォームまたは募集代理人への報酬およびやり取りを含む、二次移転に関して自身が提供する役割を明確に定めるものとする。
社外役員または投資家代理人としての行動規範
社外役員または投資家代理人は、マネジャーが自身の利害と投資家の利害が一致していることを示すよう取り計らうものとする。
ビークルの運用期間中における社外役員または投資家代理人の役割は、投資家の利益を保護することである。一つの手段として、社外役員または投資家代理人が、マネジャーの利害と投資家の利害を調整するよう取り計らうことによってこれを行うことができる。
社外役員は、マネジャーが利害衝突を管理する方法を記した書面によるプロトコルを保持するよう取り計らうものとする。
利害衝突が特定された場合、社外役員は、マネジャーが合意された利害衝突対策手順を実施するよう取り計らうものとする。マネジャーが衝突する場合、社外役員はビークルの代わりに決定を行わなければならない場合がある。利害衝突が公正かつ適切な方法で解決されていることに納得できない場合、社外役員はその旨を投資家に伝えることを期待される。社外役員は、マネジャーとビークルの間の取引(報酬体系の変更など)を積極的に監視し、かかる取引が独立主体間取引として行われ、投資家に報告されることを十分に確認することを期待される。
投資家としての行動規範
ビークルは想定リターンを達成できるように投資家の利益のために運営されるものとする。
投資家は、ビークルが自分たちの最善の利益を図るように運営されていないと判断した場合には、ビークルおよび社外役員にタイムリーに助言するものとする。
投資家は、ビークルの他の参加者に利害衝突を開示し、適切に行動するものとする。
資産の取得に関して投資家がビークルと競合する場合や、投資家がビークルから資産を取得したり投資家がビークルに資産を売却したりする場合など、様々な状況下で、投資家とビークルの間で利害衝突が発生する可能性がある。投資家は誠実に行動し、特定のビークル、マネジャー、他の投資家に適切な情報をタイムリーかつ適切な形で開示する必要がある。例えば投資家がビークルと競合する場合、または投資家がビークルから資産を取得する場合、あるいは投資家がビークルに資産を売却する場合には、投資家は通常、ビークル内における当該協議への参加や情報の受け取りを控える。かかる場合、投資家は「チャイニーズウォール」(情報の障壁)を設けて、異なる個人や人々が異なる関係者のために行動できるようにしなければならない場合がある。