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規約の遵守
マネジャーとしての行動規範
マネジャーは、規約の遵守状況を監視するような仕組みおよびプロセスを定め、ビークルが規約を遵守していることを、ビークル、社外役員、投資家代理人、投資家に確認するものとする。
マネジャーの契約上の義務には通常、ビークルによる規約の遵守を確保する義務が含まれる。これらは通常、ビークルの投資戦略や初期事業計画を示した趣意書や目論見書などを通じて投資家および潜在的な投資家に開示される。
マネジャーは規約を十分に理解する必要があり、ひいてはビークル、社外役員、投資家代理人、投資家に対して、ビークルが規約を遵守していることを確認できるようにしておく必要がある。ビークルの規約には、規約の違反があった場合に投資家などが利用することができる救済措置を定めるものとする。
規約には明確に定義された制約を定めた明確な投資方針を示すとともに、ビークルの関係者によってこれらの原則やベストプラクティスが実際にどのように適用されるべきかを示すものとする。規約は可能な限り完全かつ正確に記し、ビークルおよび投資家の法規制遵守に関して法的拘束力を持つ契約上の義務を定めるものとする。
マネジャーはビークルの設立時に一つの方針としてコーポレートガバナンスのベストプラクティスを採用するものとする。その後、マネジャーはビークルがこれらのベストプラクティスにどの程度準拠しているかを評価し、ビークルの年次報告等の中で準拠状況について報告し、ベストプラクティスからの乖離がある場合にはその理由を説明するものとする。これにより投資家はビークルのコーポレートガバナンスについて自らの意見を持つことができる。
規約には、保留された課題についての意思決定に関する、社外役員、投資家代理人、投資家の役割を定めるものとする。
ビークルの設立時に投資家は、ビークルの特定の主要なパラメーターに同意するものとする。そのようなパラメーターの変更または違反は、投資家のために判断を留保するものとする。これには次のようなものがある。
- ビークルの規約
- ビークルの投資戦略
- ビークルのタイミングおよび解散の仕組み
- ビークルの債務制限
- ビークルの流動性の仕組み
- マネジャーの解任または交代
- マネジャーの報酬体系
社外役員または投資家代理人のために保留される事項には次のものがある。
- 年次事業計画
- 利害衝突の解決
- 外部鑑定人の交代および評価方法論の大幅な変更
- 会計処理に重大な影響を及ぼすと考えられる、外部監査人の交代、または会計原則または会計実務の変更
- 恒久的リスク管理機能によって検討される事項
- リスクの特定およびリスクの管理などに関する特定の課題について投資家を代表する外部助言者の任命
- 後任の任命を含む、重要な使用人の変更
- 投資家が法的責任を負うリスクがある環境
- 投資の性質および関連市場が特に影響を受けやすい機密事項
これらの保留された事項については、投資家はマネジャーが、投資家、社外役員、または投資家代理人に専門的助言を含む、判断の基準となる適切な情報を提供することを期待する。社外役員と投資家の間で事前の協議が行われた場合、投資家はそのような協議およびその後の報告がタイムリーに行われることを期待する。
ビークルに投資する投資家の数が増えるのにあわせて、主要な決定のより低い閾値がより適切であると考えられる。投資家が出口を取ることを認める流動性の仕組みが確立されたオープンエンド型ビークルは、投資家が出口を取ることが大きく制限されているクローズドエンド型ビークルに比べて、投資家による影響または統治の機会は少ない。
年次事業計画の承認が社外役員または投資家代理人の決定のために留保される事項でない一方で、マネジャーが年次事業計画を毎年投資家に提出し、フィードバックを得られるような仕組みを確立することがベストプラクティスとなっている。この方法により、投資家は年次事業計画に対する自身の見解をマネジャーに伝えることができる。
規約にはビークルにおける持分の発行および償還方法を定めるものとする。
マネジャーは持分の発行および償還方法を明確に定めるものとする。クローズドエンド型ビークルの場合、持分の発行は1回以上の当初クロージングを通じて行われ、多数の投資家が同時に引き受けを行い、ビークルの運用期間の終了前に償還が行われる。オープンエンド型ビークルの場合、持分の発行および償還は定期的に行われる(年1回、四半期毎、毎月または毎日)。適用される基本的な評価原則および会計原則など、持分の評価方法は明確に定めるものとする。一部の管轄区域およびビークルの仕組みにおいては、仕組みは法律または政府規制によって定められる。
ビークルの運用期間の延長はマネジャーが投資家とともにコーポレートガバナンスをレビューする機会を提供する。
マネジャーがビークルの運用期間の延長または物件を売却するための短いランオフ期間(規約で規定された特定の延長期間ではない)を提案する場合、これは実質的に新しいビークルであり、ビークルの規約をレビューする機会を提供する。
社外役員または投資家代理人としての行動規範
社外役員または投資家代理人は、マネジャーがビークルの規約への準拠状況を監視する適切なシステムを定めるように取り計らうものとする。
マネジャーは、ビークルが規約に準拠するよう取り計らう義務を負うため、報告書の受領や、マネジャーとの定期的な会合を通じて、コンプライアンス状況を監視することが社外役員または投資家代理人の役目となる。社外役員または投資家代理人は法的事項または専門的事項について助言者を雇用することができるものとする(費用はビークルが負担する)。
マネジャーの任命期間が終了する状況下では、社外役員または投資家代理人は、移行期間における安定性を確保するためのプロセスを監督するものとする。
社外役員(投資家から独立している)は投資家とマネジャーの間の仲介者として行動し、マネジャーの交代プロセスに関連する結果および費用を投資家とともにレビューすることを期待される。
投資家としての行動規範
投資家は投資を行う前に規約を十分に理解するものとする。引受契約に署名することによって規約の内容を承認したものと見なされる。
投資家が投資を十分に理解するように、規約にはビークルの戦略およびビークルの運用、投資家とビークルの間の関係および義務(投資家の決定、会合および票決が含まれる)、投資家にとっての流動性機会を定めるものとする。これには、適切な場合には、ビークルの解散時の最終的な出口手続きが含まれる。規約は明瞭かつ明確なものとし、投資家のために保留される重要な事項について決定するための会合が開かれる適切な管轄区域が含まれるものとする。