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繰延税金債務に関する調整の計算
この調整はどのように計算するべきか?ポートフォリオベースまたはその他の累積ベースで、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される、繰延税金債務の固定比率(50%など)として計算するのは適切か?
この調整の根拠は、IFRS(および他の多くのGAAP)のもとで、繰延税金債務が名目法定税率で評価されることである。ビークルが期待する繰延税金の精算方法は通常、考慮に入れない。したがって、これに基づいて計算される繰入額は繰延税金の適正価額を表すものではない(実際の金額は、不動産資産の売却時に明確にされることが期待される)。
債務の適正価額の調整を計算する際、想定した決済方法に基づいて、調整は資産ごとに評価されるものとする。
それゆえ、各資産について、計算日において不動産にとって適切な市況ならびに意図する売却方法および資産の税構造に基づいて、最も可能性が高い売却形態(例えば、資産取引や株式取引)について考慮するものとする。まだ実現していない市況の将来の変化に基づく売却方法の変更の想定は、INREV NAV調整を計算する目的においては、主観的に過ぎると考えられる。該当する場合、売却に関連する事業体の歴史も考慮するものとする。次に、取引に課される適用税率ならびに評価された決済の方法に従って、繰延税金債務の適正価額を計算する。IFRSはバランスシートの日付時点で成立したまたは実質的に成立した税率のみを使用することを認めている。 一方、バランスシートの日付以降に成立したまたは実質的に成立した税率はINREV NAV調整を計算する目的で使用することができる。
この計算においては、承認される可能性が高い持分取引を通じて売却される不動産の売却価格の割引額を考慮に入れるものとする。例えば、不動産を所有する事業体の持分の売却は非課税(または最低税率)となるが、不動産を所有する事業体内における潜在的なキャピタルゲインについて、売却価格で控除が行われる場合などが考えられる。INREV NAV調整を計算する場合、売却取引において達成されそうな税金に加えて、この金額を考慮に入れるものとする。
それゆえ、これに基づいて上記に概説した固定比率のアプローチは、ポートフォリオの各不動産の繰延税金債務について必要とされる調整の合理的な推計を表さない限り適切でないと考えられる。
調整を二重に計算することを避けるために、調整の計算の全部または一部が、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される繰延税金債務にまだ含まれていないことを確認することが必須である。不動産の査定に関して、譲渡税についてこの調整とINREV調整の間に二重の計算がないことを確認するよう注意を払うものとする。疑義を避けるために、譲渡税は繰延税金の調整の計算の範囲内に含めないものとする。
それゆえ、この計算の主観的かつ複雑な性質を踏まえて、マネジャーが、計算の方法論について正式な社内方針を文書化し、それを引き続き適切なものとするために、マネジャーが(例えば、税法や市況の変化について)継続的に見直しを行うことが推奨される。全体的な所有構造、主要な前提、各国の広範なパラメーター、慣習的な最大税率(税構造がない場合)および適切な税率(%)など、全体的な税構造についての開示がなされるものとする。