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コーポレートガバナンス
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ガイドライン
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報告
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イントロダクション
原則としてマネジャーは、ビークルの特徴、ビークルのパフォーマンスに関する解説、関連するKPIの分析をはじめとする基本データを毎年報告するものとする。年次報告は、投資家にビークルの投資戦略、リスク方針、エクスポージャー、およびマネジャーが事業目的および事業方針にいかに準拠しているかを報告するものである。
年次報告は、ビークルの当該年におけるパフォーマンスおよび活動の年間レビュー、関連するGAAPに従って作成された財務報告書で構成されるのが一般的である。年次報告書に加えて、マネジャーは中間報告書を投資家に提供するものとする。中間報告の頻度および詳細レベルはファンドの資料に定義するものとする。投資家に中間期間におけるビークルの活動およびフォーマンスの最新状況を投資家に伝えることを一般的に目的とし、ビークルの組織、ガバナンス、リスクプロファイルに重要な影響を及ぼす、または重要な影響を及ぼしうる重大な変更について詳細を伝えるものとする。中間報告に加えて、ガイドラインの範囲外であり、より多くの頻度(例えば、毎月1回)で作成される投資家に最新状況を伝える「フラッシュ」レポートといった非公式なツールも存在する。
定量的データおよびKPIは標準データデリバリーシート(SDDS)に定義されるように、これらのガイドラインに従って行われる投資家への報告にとって不可欠なものであり、そうした情報は投資家への報告書に盛り込むものとする。このデータは(SDDSのテンプレートを用いて)年次報告書または中間報告書への附属書類あるいはマネジャーの嗜好に応じて報告書そのものの該当するセクションに盛り込んで提示することも可能である。
便宜上、報告ガイドラインは以下のセクションに分類される。
- 報告書の内容と頻度
- ビークルの一般情報、組織、およびガバナンス
- 資本構造とビークルレベルのリターン
- マネジャーの報告
- 不動産レポート
- 財務/ファイナンス・リスク管理
投資家への年次報告書および中間報告書には、適切な一般に認められた会計原則に基づいて作成された監査済み年次財務諸表または中間財務諸表の要約版が含まれることがある。ファンドマネジャーは監査済みの財務諸表とともにINREV報告開示を単一のパッケージとして、あるいはそれぞれ別々の書類として自由に提出することができる。中間期ごとに投資家に完全な財務諸表を提供することを選択するマネジャーも存在する。そのような財務諸表にはこれらの報告ガイドラインによって開示が義務付けられた一部の情報が含まれていることがあり、必要に応じて参照することができる。当該財務諸表に記載された情報は、年次報告または中間報告の中に記載された情報と全体的に整合性が取れているものとする。
報告ガイドラインは投資家の報告書の内容に照準を定めているが、そのような報告書の体裁やフォーマットについて規定はない。
INREVのSDDSは、自身のシステムにデータを容易にアップロードすることができるフォーマットで要求される主要な税務管理情報を投資家に提供する標準的なデータツールである。各報告要件は当該SDDSデータを参照しており、年次報告および中間報告の内容との関係を示している。
報告の原則およびガイドラインを以下に示す。頻度の欄はガイドラインが年次報告要件または中間報告要件のみであるかどうかを示している。必要に応じて理解を深めるために追加説明を行う。また、ツールや事例のセクションには、負債およびデリバティブの開示説明、自己評価ツールの報告、SDDSのテンプレート、サスティナビリティレポートの事例、キャピタルコールや分配金の報告が含まれている。
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ガイドライン
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報告の枠組みに関するファンドの資料
投資家向けの、監査済みおよび未監査の財務諸表、運用報告書の提出の根拠、頻度、時期をファンドの資料に規定するものとする。 マネジャーは年次報告書に加え、少なくとも1回中間報告書を投資家に提供するものとする。 |
年次報告 | 中間報告 |
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報告書の内容と頻度
投資家への年次報告書および中間報告書の全体的なパッケージの要素は、どのような構成であれ、内部的に整合性が取れたものとする。 例えば、マネジャーの報告書、不動産レポートその他の報告書の中で提示された情報は、SDDSのテンプレートと別々の場合は、財務諸表の情報と整合性が取れたものとする。また、投資家への中間報告に含まれた情報の作成の根拠は、投資家への年次報告書と整合性が取れたものとする。いかなる相違や例外事項も説明するものとする。 |
年次報告 | 中間報告 |
通期の監査済み財務諸表を投資家に提出するものとする。これには次のものが含まれる。
SDDSの参照: 1.13 会計基準、1.15 ファンドの監査人、3.3 出資資本の純額、3.4 現金および現金同等物、3.5 発行済み持分数、セクション11. マネジャーおよび関係者に支払う報酬の詳細 |
年次報告 |
中間報告については、年次報告で使用したのと同じ用語集およびKPIを用いる。新たな用語またはKPIが使用される場合は、マネジャーはそれらを明示的に定義するものとする。 SDDSの参照: RG.4と同一 |
中間報告 |
年次報告では、ビークルのINREVへの全体的な準拠状況を説明する。 その際、モジュールごとにINREVガイドラインへの準拠レベルを開示する。必要に応じて、関連する説明、調整、計算を含める。 経営陣(例えば、INREVコーポレートガバナンスの枠組みが採用されていない場合)および/またはコーポレートガバナンスを担当する社外役員は報告書およびその根拠をレビューするものとする。 |
年次報告 |
中間報告では、INREVの中間報告ガイドラインへの準拠レベルを開示する。報告要件への準拠レベルの詳細な説明のために、年次報告にも言及するものとする。 経営陣(例えば、INREVコーポレートガバナンスの枠組みが採用されていない場合)および/またはコーポレートガバナンスを担当する社外役員は報告書およびその根拠をレビューするものとする。 |
中間報告 |
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ビークルの一般情報、組織、およびガバナンス
ビークルの特徴に関する一般的な情報には、まず何よりも、名称、本拠地、法的形態、ビークルの種類(INREVのビークルの種類の定義を参照のこと)、ビークルの仕組みの説明、ビークルの通貨、ビークルの年度末が含まれる。 SDDSの参照: 1.1 ファンドの名称、1.7 ファンドの管轄、1.8 ファンドの法的仕組み、1.9 オープンエンド型またはクローズドエンド型、1.12 報告の通貨、1.16 年度末 |
年次報告
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中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルのガバナンスの枠組みおよび管理・運営組織を説明する。例えば、オルタナティブ投資ファンドマネジャー、管理者、受託者、保管人、ジェネラルパートナー、リスクマネジャー、投資アドバイザー、ポートフォリオマネジャー、資産運用業者、不動産管理者、鑑定人、その他主要な機能を必要に応じて特定する。 SDDSの参照: 1.2 マネジャー |
年次報告
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中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルの戦略についての簡潔かつ詳細な概要を提出する。 SDDSの参照: 1.10 ファンドの種類、1.11 INREV種類の分類の定義に従ったファンドの種類 |
年次報告
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中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルの運用期間における主要な出来事の日付を説明する(ビークルの期間、投資期間、クロージング日等)。 SDDSの参照: セクション2 重要な日付 |
年次報告
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中間報告 重要な変更を説明する |
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資本構造とビークルレベルのリターン
表形式のフォーマットで、投資家のビークルへのコミットメントと出資状況を開示する。特に以下を含めるものとする。
このほか、マネジャーは予想されるコミットメントの実行、資本のリターン/償還、次の期間におけるキャピタルコールおよび償還の要求を開示するものとする。マネジャーはこれらの見通しに用いられる前提を含めることもできる。 SDDSの参照: セクション12 資本出資の詳細、セクション14 持分資本のコミットメント、セクション15 ビークル立ち上げ後の資本出資、セクション18 ファンドの資本の流れ |
年次報告 |
SDDSのセクション7に定義される主要な投資家のリターンおよび関連する測定基準の概要と見解を示す(関連する比較目標、ベンチマーク、指数等)。 SDDSの参照: セクション7 パフォーマンス測定 |
年次報告
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中間報告
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期間中および年度末後に支払った分配金を開示し、考察する(関連する不動産売却などの内在する取引との関連性)。 SDDSの参照: セクション13 分配金、セクション16 ビークル立ち上げ以来の分配金 |
年次報告
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中間報告
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ビークルの報酬体系の資本構造への影響およびビークルレベルのリターンの概要を示す(報酬の資本組み入れの手配など)。 SDDSの参照: セクション11 マネジャーおよび関係者に支払う報酬 |
年次報告
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中間報告 重要な変更を説明する |
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マネジャーの報告
ビークルのパフォーマンスに重要な影響を及ぼしている、または及ぼしうるマクロ経済要因の概要を示し、考察する。 これには、経済成長要因、および新規賃貸物件、不動産供給、または開発機会の有無に対するその影響などに関する情報を含めるものとする。このほか、税務・規制環境、および金利および融資条件の動きなど、借り入れ条件の重要な変更を含める。 |
年次報告 |
期間中にビークルに影響を及ぼした重大な出来事、および貸借対照表の日付から12か月間に予想される重大な出来事の概要を明確に示した一覧。取得、売却、投資家への分配金、期間中の全体的な融資または資本構造を含めたビークルの重要な活動の簡潔な説明を提供する。 |
年次報告 | 中間報告 |
SDDSのセクション3.1、3.2、5に定義される、純資産価値、主要な財務比率、評価結果、実現損益、運用実績に関連した情報などの、関連するビークルレベルのKPIを参照し、期間中のビークルのパフォーマンスを分析する。 SDDSの参照: 3.1 総資産価値(GAV)、3.2 純資産価値(NAV)、セクション5 ファンドの実績 |
年次報告 | 中間報告 |
マネジャーや関係者との報酬の取り決めの仕組みについて説明し、見解を示す(関連する資本組込または支払計画、年度末の残高、実現利益、未払い費用、支払い済み費用、または回収した費用を含む)。発生額または未払額と、パフォーマンス基準の達成を関連付ける。該当する場合、この説明には次の詳細を含めるものとする。
必要に応じて、詳細については関連する財務諸表の開示に関する該当するセクションを参照する。 SDDSの参照: セクション11 マネジャーおよび関係者に支払う報酬 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルの純資産価値およびその計算の根拠を開示する。財務諸表と純資産価値を調整するために行った調整の詳細を含め、かかる純資産価値の決定にINREV NAVガイドラインをどの程度利用したかを開示する。INREV NAVまたは他のNAVを決定する際に用いた判断および想定も含めるものとする。 SDDSの参照: セクション4 純資産価値とINREV NAVを一致させるための調整 |
年次報告 |
中間報告 純資産価値、方法論および前提への重要な変更を開示する |
期間の実績に影響を与える一回限りの重大な出来事に関する説明と見解を示す。この開示は、例えば、清算に関連する費用、取引中止費用、一回限りの不動産関連費用、その他の特別な事項または例外的な事項を説明し、見解を示す。 | 年次報告 | 中間報告 |
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不動産レポート
稼働率レベル、入居エリア別テナントプロファイル、平均賃料、賃貸または売却した新規開発不動産の割合など、ビークルの投資不動産ポートフォリオの現在の進展を説明し、見解を示す。 SDDSの参照: 9.4 資産の数、9.9 2年未満の賃貸契約の終了、9.10 加重平均賃貸契約の残存期間 |
年次報告 | 中間報告 |
期間中における重大な取得または売却の事業的根拠、およびビークルの財政状態および実績に対する影響を説明する。 SDDSの参照: セクション8 投資活動、 5.10 未実現損益、5.11 実現損益 |
年次報告 | 中間報告 |
年次報告では、セクター別および地理別にポートフォリオ配分の概要、およびビークルの投資戦略に照らして見解を示す(SDDSに記載された詳細なポートフォリオ配分シートに言及する)。 SDDSの参照: ポートフォリオ配分シート、取得/売却件数、取得/売却額(8.1、8.2、8.4および8.5) |
年次報告 |
投資不動産、建設中の不動産、土地および賃貸借に用いる不動産評価方法の概要を示し、見解を示す。これには、使用した方法論、および利回り、ディスカウントレート、資本化比率などの主要な市場データや前提に関する情報を含める。想定した売却シナリオ、想定した資本支出、譲渡税の扱いなど、不動産評価で使用した特定の前提または特殊な前提を説明する。 SDDSの参照: 1.17 英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会(RICS)の規則への準拠、9.1 投資・開発ポートフォリオの合計適正価額、9.2 投資ポートフォリオの適正価額、9.3 NOI 利回り、9.5 ファンド資産の総賃貸可能面積 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
独立外部評価の対象となる不動産ポートフォリオの割合、および鑑定人の名称および資格、かかる評価の実施日を開示する。これには、鑑定人の報告書の中で開示されるすべての修正および留保の詳細を含める。 SDDSの参照: 資産の3.6%については外部機関による評価、資産の3.7%については内部による評価 |
年次報告 |
セクター別/地理別による、賃料の伸びおよび予想される賃料の価値の変動についての見解を示す。提供された市場データはビークルに特有の行動に関連があるものとする。 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
インセンティブ、フリーレント期間、テナント改善プログラム、新しい賃貸借契約条件における市場動向への言及により予想される将来の変更など、賃貸契約更改の最新動向を説明する。 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
空室率の進展状況およびビークルのパフォーマンス、将来の見通しに及ぼす影響の概要および見解を示す。 SDDSの参照: 9.6 ビークルの資産の純賃貸可能面積、9.7および9.8 空室、9.17 上位10テナント |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
期間中に実行中の不動産開発の額を定量化する。これには、完了した不動産の件数の詳細、および期間中に投資不動産に譲渡または売却された不動産の件数を含む。開発コスト、関連するコミットメント、開発中の不動産の会計方法を含む。 SDDSの参照: 9.11 開発ポートフォリオの適正価額、9.12 総資産価値(GAV)に対する現在の開発エクスポージャーの比率、9.13 将来の開発プロジェクトへ投資されるまだ実行されていないコミットメントの予想される割合、9.14 開発ポートフォリオコスト |
年次報告 | 中間報告 |
合弁事業および共同投資におけるビークルのポジションを説明し、定量化する。とりわけ、かかるポジションの会計方法、ビークルの全体的な財務プロファイルおよびリスクプロファイルへの影響、事業展望の詳細を含める。 |
年次報告 | 中間報告 |
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リスク管理
ビークルが直面する主要なリスクを説明する。かかるリスクへのビークルの現在のエクスポージャーを説明し、分析する。とりわけ、主要なリスクには次のものが含まれる。
外部からの収支とは別に、株主融資へのエクスポージャーを分析するものとする。 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
表形式のフォーマットで、ビークルの全体的な財務構造の詳細を説明する。これには、財務コスト、安全措置、リコースの取り決め、満期、金利、融資償却条件を含める。必要に応じて財務諸表の開示に言及する。 SDDSの参照: セクション6 財務 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
全体的な戦略および将来展望に言及することにより、ビークルの全体的な財務構造に関する見解を示す。かかる見解は、当該期間または予見可能な未来における重大な新規債務の取り決め状況、債務の期限前弁済、債務再編プログラムに関する情報を提供するものとする。 SDDSの参照: セクション6 財務 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルおよび特別目的事業体(SPV)の現在の主要な財務比率を説明し、見解を示す。インタレストサービスカバレッジ比率、不動産レベルLTV、ギアリング比率、ビークルのかかる比率への一般的なレベルの準拠など。 SDDSの参照: セクション6 財務 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
デリバティブ金融商品の利用およびビークルのパフォーマンスへの影響を説明し、見解を示す。主要な条件および適正価額、ならびに財務諸表や純資産価値における取り扱いを開示する。 SDDSの参照: セクション6 財務 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
ビークルの財務構造、キャッシュバランス、市況の変化等に言及することにより、ビークルの全体的な金融収入および金融費用を説明し、見解を示す。 SDDSの参照: セクション6 財務 |
年次報告 |
中間報告 重要な変更を説明する |
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その他の開示要件
例外的な状況下では、外部不動産鑑定人が定めた不動産評価におけるマネジャーの乖離を明確に説明し、開示しなければならない。 市場価値パラメーターについてマネジャーと不動産鑑定人の間で見解が異なる場合、これらのパラメーターを明確に説明し、開示しなければならない。特に、オポチュニスティック投資の場合は、マネジャーと外部鑑定人は特定の出来事の発生可能性について異なる意見を持つことがある(それは例えば、マネジャーは政府機関、潜在的な買手またはテナントと協議中であることによる)。 もう一つの乖離の発生例としては、価値の変化に関する意見の相違に関連するものがある(外部評価が実際に行われた日から、報告書が作成された日までに相当な開きがある場合)。 いかなる状況であれ、評価調整を行う際に、経営陣は適切な内部手続き(エスカレーション評価を含む)に従うものとする。 |
年次報告 | 中間報告 |
INREV NAVの開示要件 マネジャーは、純資産価値計算に関連した以下の開示を行うものとする。
調整の注記では主要な前提、使用した方法を説明するものとする。 特に以下を説明するものとする。
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年次報告 |
中間報告 方法論および前提への重要な変更を説明する |
マネジャーが請求する手数料の全構成要素の分析を示す開示表を提示するものとする。 これには、パフォーマンスフィー、成功報酬、その他類似の取り決めの要素、またマネジャーの他の関係会社または関係者による、その他の類似の取り決めを含める。 SDDSの参照: 5.13.1 総経費率(TER)- 純資産価値(NAV)(パフォーマンスに対して支払ったまたは発生した金額を除く)、5.13.2 総経費率(TER)- 総資産価値(GAV)(パフォーマンスに対して支払ったまたは発生した金額を除く)、5.13.3 総経費率(TER)- 純資産価値(NAV)(パフォーマンスに対して支払ったまたは発生した金額を含む)、5.13.4 不動産経費率(REER)、セクション11 マネジャーおよび関係者に支払った手数料 |
年次報告 |
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Q&A
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年次報告および中間報告の要件
詳細な四半期報告書または半期報告書を投資家に提供している場合、マネジャーはいかにして中間報告要件および年次報告要件を適用すべきか?
INREVの報告ガイドラインは、投資家に提出する報告書の体裁よりも内容に焦点を当てている。
多くのマネジャーは最終四半期または半期の注釈を含む完全な年次報告書とともに、3~4回の四半期中間報告書または1回の半期報告書を作成する。これらの中間報告書は要約版であることが期待されるが、マネジャーの裁量により年次報告要件に定められたすべての開示を含めることができる。報告ガイドラインには、投資家に提出する報告書の最低要件が示されている。
状況に応じて、マネジャーは別途提供する年次財務諸表とともに、4回の四半期報告書または2回の半期報告書を投資家に提出する。これらの報告書には中間報告要件および年次報告要件に定められたすべての開示事項が含まれており、従ってその要件を遵守している。その場合、財務諸表が添付されている年次報告書には詳細な中間報告書で提示された情報の概要のみ記載される場合がある。
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不動産評価
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イントロダクション
不動産評価は、かなりの程度まで、ビークルのパフォーマンスおよび純資産価値(NAV)を強化する。運営およびパフォーマンスフィーは、多くの場合、直接的または間接的に不動産評価に連動している。それゆえ、投資家の観点から見ると、ビークルから基本となる不動産評価に対する一貫性があり透明性の高いアプローチに基づく情報を受け取ることが重要である。アナリスト、貸出銀行、市場参加者をはじめとする他のステークホルダーも、この根拠に基づいて作成された評価に関心を示すかもしれない。
これらのガイドラインの目的は、パフォーマンス測定、ビークルの評価および報告に用いることができる、不動産評価に対する共通のアプローチを定義することである。
評価ガイドラインは、投資家の観点から見た最低限の要件と見なされるものとする。不動産評価に対する投資家の要件は一般的にビークルの様々な種類間で異なることがないため、オープンエンド型ビークルやクローズドエンド型ビークルを対象とするベストプラクティスは区別されていない。例えば、報告目的で行う外部不動産評価の頻度はビークルの性質や種類に必ずしも左右されない。
これらのベストプラクティス要件は、単位価格表示を目的とする不動産評価に関する推奨またはガイダンスを提供することを目指すものではない。
不動産評価の原則およびガイドラインを以下に記載する。必要に応じて理解を深めるために追加説明を行う。
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ガイドライン
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鑑定人および関連事項
外部鑑定人は独立していなければならない。外部鑑定人の独立性を損なう可能性のある他のサービスが外部鑑定人によって提供される場合には、その旨を開示しなければならない。
不動産の鑑定に携わる外部鑑定会社が融資、不動産ソーシング、売却または取得に携わっているかまたは最近携わったことがある場合、あるいは企業が外部評価に加えて他のサービスに対して多額の手数料を手にした場合には、これらのサービスの説明を含め、適切な開示を行うものとする。
外部鑑定人は、不動産評価を行うための適切な専門的な資格および能力を有していなければならない。
外部鑑定人は、現地および/または国際的な専門的評価認証を有しているものとし、また意図する目的に関して関係国で評価の行うことに対して認可または規制を受けるものとする。また必要な能力レベルを備え、不動産評価を実施するために、該当する市場の知識および経験を有しているものとする。
外部鑑定会社は、力量と、組織全体および主要な従業員を通じて専門知識を維持していることを示すものとする。
また、鑑定人は、現地および/または国際的な専門的評価認証によって規制されることが重要である。一例として、英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会(RICS)の鑑定人登録を通じた規制が挙げられる。
上述の原則から乖離する場合には、詳細な開示と説明を行うものとする。
外部鑑定会社の継続任命または再任のレビューは定期的に行い、少なくとも3年に1度行うものとする。
外部鑑定会社の評価は継続的に行われる。外部鑑定会社が評価を行う上で最適な鑑定人となるように、少なくとも3年に1度、正式な評価を行うものとする。評価の結果、外部鑑定会社の任命を交代制とする場合がある。評価には、外部鑑定会社が申し立てに対して適切な保険が掛けられているかどうかの評価も含まれる。交代制を採用する場合、外部鑑定会社の間にいかなる関係もないものとする。INREVコーポレートガバナンスの枠組みに記載されている行動規範を参照する。
外部鑑定人の評価手数料は、評価の結果と直接関係しないものとする。
また、鑑定人は評価対象の持分を所有してはならない。実行された評価委託業務に対する報酬が年間の売上高全体のかなりの額を占めることがあってはならない。
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評価プロセス
全物件について、1年に少なくとも1回は外部不動産評価を行わなければならない。
外部不動産評価は、一般的に次のものに対して必要となる。
- (法定)財務報告
- 株主その他のステークホルダーに対する運用報告
- パフォーマンス測定および(インセンティブ)報酬の決定
- 規制当局
- 金融/債務および継続的な融資約定条項への準拠の確保
- 企業の取得および企業価値の評価
年に1度行う不動産評価は、すべての不動産についての評価を一度に行う必要があることを示すものではなく、また必ずしも年末に行う必要もない(それがベストプラクティスではあるが)。ビークルの特定の報告要件に従って、外部評価または内部評価がより頻繁に行われる場合がある。
外部鑑定人の専門的評価基準ではすでに現場調査が義務付けられているが、この点についてマネジャーに部分的な責任を負わせるため、この要件を本書にも含めた。
さらに、大規模ポートフォリオについては、専門的な判断に基づいて、外部鑑定人は住戸や倉庫のポートフォリオなど、同質のリスクプロファイルを有する物件の現地調査について、3年間の循環ベースで、交代制の原則を用いることを検討する場合がある。外部鑑定人が交代制の原則を適用する場合、マネジャーはこのアプローチが妥当なものであることを確保しなければならない。
新規取得物件および大規模な(再)開発活動が行われている物件は、その年の現地調査の調査対象に含めるものとする。
マネジャーは、外部鑑定人が適切な評価を行い、長期的な維持費および/または土壌汚染コストなどの想定されるコストについて評価を行えるようにするため、包括的かつ適切で透明性のある情報を外部鑑定人に提供するようにしなければならない。
マネジャーは、外部鑑定人に不動産評価に関連がある情報を十分詳細に伝えるものとし、情報を保留してはならない。不動産評価の決定に用いるためにマネジャーが提供する情報の種類や、外部鑑定人が情報源の資料によって確認する情報の種類には、賃貸/賃料の記録の情報、付与されたリース・インセンティブ、改修コスト、測定データ、不動産運用費用、固定資産税、および市況、税制・規制の改正に関連するその他の情報が含まれる。
マネジャーは、法的所有権(借地権、自由保有権)や何らかの制限、債務が価値評価に正しく反映されるよう取り計らうものとする。
マネジャーは、既知の環境問題の最新情報を外部鑑定人に提供するものとする。
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評価
不動産の価値は、その市場価格または適正価額とする。
国際評価基準委員会(IVSC)および欧州査定団体連合会(TEGOVA)は、市場価格を「各当事者が豊富な知識をもって、慎重に、かつ強制されることなく行動して行った適切なマーケティング後に、自発的な買手と売手の間の独立主体間取引において評価日に交換される不動産の推定額」と定義している。国際会計基準(IFRS)第13号に基づく国際会計基準審議会(IASB)の 適正価額の定義は、「測定日における市場参加者の間の秩序だった取引において、資産の売却時に受け取る金額、または債務を譲渡する際に支払う金額」となっている。
国際的な専門的評価基準に準拠するために、推定市場価格は、原則として未確定条項や特殊な前提に基づかないものとする。特殊な前提や未確定状況はすべて適切に開示されるものとする。
国際会計基準(IFRS)第13号に準拠するために、マネジャーは、市場価格の推定に用いられる主要な前提を支える充分な市場の証拠(市場で入手可能な場合)と比較値が外部鑑定人から提供されるよう取り計らうものとする。
鑑定人は、認知された国際的な専門的評価基準に準拠するものとする。
任命された鑑定人は、国際評価基準(IVS)、英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会(RICS)、欧州資産評価委員会(TEGOVA)などの広く認められている国際的な専門評価基準に準拠するものとする。
譲渡税および購入者のコストは不動産価値の決定時に控除される。
不動産の市場価格を決定する際、鑑定人は、出口戦略にかかわらず、通常市場で不動産を購入する際の取引コストについても同様に考慮するものとする。
外部評価報告書には、適用される評価データや市場の前提とともに、投資不動産、売却目的で保有する不動産、建設中および土地を賃貸借している不動産に用いられる評価方法に関する情報を含めなければならない。
評価方法には、とりわけ次のものが含まれる。
- 市場アプローチ - 市場比較方式に基づく
- 収益還元法 - 収益方式に基づく
- 収益率倍数または割引キャッシュフロー方法論に基づくその他の評価モデル
- 他の評価方法を適用できない特殊で稀なケースに限り、再調達価格から償却費を引いた方法(原価アプロ-チ)を用いることができる
建設中の不動産の評価は、以下に基づく。
- 完成時点の適正価額から完成までの費用を差し引く(残余アプローチ)
- 他の評価方法を適用できない特殊で稀なケースに限り、原価アプロ-チを用いることができる
不動産の建設の初期段階において、不動産の適正価額を取り巻く不確実性レベルは高い。これに関連して、残余アプローチを用いて決定される適正価額は、不動産に支払われる対価にその後の建設コストを加えた額に等しくなる場合がある。
例えば、適用される市場の前提に関する情報には、賃料動向や利回りの変更などの感度解析が含まれる。
INREV NAVの目的において、建設中の不動産の評価は適正価額として表されることに留意されたい。モジュール4 - INREV NAVガイドラインのINREV NAV調整を参照のこと。
外部鑑定人の交代制の指名の結果、市場価値に重大な変更が起きた場合、マネジャーは主要な基本的前提を評価し、かかる変更の妥当性について十分な開示を行わなければならない。
最後に、運用評価規制に基づいて合意された評価の方法論にかかわらず、適用される評価の方法論は市場価値につながるものでなければならない。
外部鑑定人による評価は、マネジャーの正式な内部評価レビューおよび承認プロセスに従うものとする。
マネジャーはビークルのNAVに含める前に、およびステークホルダーへの開示の前に、正確性のために全体的な評価をレビューし、内部で承認されるよう取り計らうものとする。レビューおよび承認プロセスは、公平かつ客観的で、一貫性があり独立したものとする。
レビューおよび承認には、何よりも以下の規制を含むものとする。
- マネジャーは、評価の時期と頻度が、運用規定で予見される評価方針に合致したものとなるよう取り計らうものとする。
- マネジャーは鑑定人の評価の前提が、使用される評価方法とともに、評価対象となる物件の性質に関して適切となるよう取り計らうものとする。
マネジャーのレビューは、年次報告の完全なレビューとは対照的に、報告の性質に合わせて適用することができ、毎月または四半期ごとの報告について高度なレビューを可能にする。
市場価値パラメーターについてマネジャーと不動産鑑定人の間で見解が異なる場合、これらのパラメーターを明確に説明し、開示しなければならない。
市場価値パラメーターについてマネジャーと不動産鑑定人の間で見解が異なる場合、これらのパラメーターを明確に説明し、開示しなければならない。これらの乖離および意見の相違の発生は非常に稀であり、その場合、オポチュニスティック投資家に関連すると予想される。例えば、特定の出来事の発生の可能性について、マネジャーおよび外部鑑定人が異なる見解を持つことになる(それは例えば、マネジャーが政府機関、潜在的な買手またはテナントと協議中であることによる)。もう一つの乖離の発生例としては、価値の変化に関する意見の相違に関連するものがある(外部評価が実際に行われた日から、報告書が作成された日までに相当な開きがある場合)。
そのような例外的な状況下では、マネジャーが決定する市場価格は貸借対照表の中で報告しなければならない。 これには外部鑑定人が導き出した市場価格からの乖離を正当化するための十分な開示が含まれる。
いかなる状況下であれ、評価調整を行う際にはマネジャーは適切な内部手続き(エスカレーション測定を含む)に従うものとする。
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解散または清算時の評価に関する追加ガイダンス
特定の状況下においては、清算または解散(かかる評価は非継続企業のベースを反映したものとする)の結果、市場価格に対して影響が出る場合には、マネジャーはこれを個別に考慮し、調整するものとする。
原則として、市場価値予想は不確実性条項および特殊前提に基づかないが、マネジャーは特定の状況においては、清算の価値の潜在的な効果を検討するものとする。 というのも、ビークルは、とりわけ以下の状況下では不動産の適切なマーケティングの時間を持たない可能性が考えられるからである。
- 財政難の状況
- 流動性の問題
- ポートフォリオ取引
- マーケティングの制限(例えば、ビークルの債務満期または満期による)
マネジャーは、影響が存在するかどうか、またその測定が可能かどうかを個別に検討するものとする。INREV NAVを作成する際にかかる影響を考慮するものとする。
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Performance Measurement
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INREV NAV(INREVによる純資産計算基準)
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イントロダクション
これらのガイドラインを定める際のINREVの目的は、欧州の非上場ビークルの財務報告書の中でINREV NAVを計算し、開示する方法についてのガイダンスをマネジャーに提供することである。これは、異なる種類のビークルのパフォーマンスの透明性および比較可能性につながり、投資家は提供された情報を理解できるようになる。
報告の目的のひとつは、投資のパフォーマンスおよび評価に関連する情報を投資家に提供することである。IFRSをはじめとする一般に認められた会計原則(GAAP)に基づいて計算された純資産価値は必ずしもこの目的を満たすものではない。それゆえ、このガイダンスは、マネジャーがより有意義な調整後純資産価値を計算することを可能にする業界特有の枠組みを示すために作成された。
投資家とマネジャーの双方は、不動産業界を通じて一貫性のあるアプローチを求めている。また異なる会計基準の採用が調整後純資産価値の計算の不一致につながっている。投資家とマネジャーも、欧州の非上場不動産ビークルと他のビークルのパフォーマンスおよび価値を比較できることを望んでいる。
INREV NAVは、一般に認められた会計原則に基づく純資産価値と比較して、異なる世代の投資家に利益をもたらす幅広いコストに合わせた調整の上、元になる資産や債務の貸借対照表の日における適正価額に基づく投資(単位)のより正確な経済的価値を反映したものとする。
純資産価値の主たる目的は、投資家レベルにおける会計目的でそれぞれの投資の評価について類似のビークルとのパフォーマンスを比較することである。それは、貸借対照表の日付におけるビークル単位の正味実現可能価値の測定となることを目指しておらず、他の様々な要因によって影響される場合がある。
INREV NAVの決定方法に関する原則およびガイドラインの一覧を以下に示す。必要に応じて理解を深めるために追加説明を行う。さらに、ツールおよび事例のセクションには、IFRSに基づいて作成された財務諸表からINREV NAVを算出するために必要とされる一般的な調整の多くを含むINREV NAVの計算事例が記載されている。最後に、よくある質問についての理解を深めるために一連のQ&Aを追加した。
INREV NAVガイドラインは、選択されたGAAPに従って得られた結果に調整を加えることにより会計原則に優先される。
INREV NAV調整は、マネジャーによる重要な判断(繰延税、譲渡税等)を必要とする。その結果、投資家がマネジャーの取ったポジションを理解できるよう十分な開示を含めることが重要である。
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原則
INREV NAVは、一般に認められた会計原則に基づく純資産価値と比較して、異なる世代の投資家に利益をもたらす幅広いコストに合わせた調整の上、元になる資産や債務の貸借対照表の日における適正価額に基づく投資(単位)のより正確な経済的価値を反映したものとする。
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ガイドライン
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INREV NAVの枠組みに関するファンドの資料
ファンドの資料には、評価規則および手順の詳細、評価の困難な資産の評価の際に使用される方法を含む価格設定の方法論、ビークルの重要な資産および債務のすべてについての評価の頻度を記載するものとする。
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INREV NAV調整
調整後純資産価値の計算に関するINREV NAVのベストプラクティス要件は、オープンエンド型ビークルおよびクローズドエンド型ビークルの双方に使用するものとする。本セクションでは、必要な調整の計算の根拠としてIFRSへの直接的なリンク、および必要な場合には他の適正価額のコンセプトへの直接リンクを貼る。GAAPの他の根拠が使用される場合、INREV NAVを決定する根拠として、IFRSに合致するために必要とされるさらなる調整が必要とされる場合がある。適正価額の解釈に関するINREVの追加ガイダンスおよび会計の提供も含まれている。
IFRSに基づいて計算されたビークルの純資産価値は、INREV NAVを計算するために以下の項目について調整するものとする。
合計 | |
IFRSの財務諸表に基づく純資産価値 | x |
持分の構成要素としての特定のIFRS債務の再分類 |
|
a) 株主の長期的なビークルの持分を示す、株主融資およびハイブリッド資本商品(転換社債を含む)の再分類の効果 |
x |
b) 分配されずに債務として計上された分配金の効果 | x |
株式に類似の持分および未分配の分配金の再分類後の純資産価値 |
x |
資産および債務の適正価額 | |
c) 投資不動産の適正価額の再評価 |
x/(x) |
d) 自ら建設または開発した投資不動産の適正価額の再評価 |
x/(x) |
e) 売却目的で保有する投資物件の適正価額の再評価 |
x/(x) |
f) ファイナンス・リースに基づいてテナントに賃貸している不動産の適正価額の再評価 |
x/(x) |
g) 在庫として保有している不動産の適正価額の再評価 |
x/(x) |
h) その他の実物資産投資の適正価額の再評価 |
x/(x) |
i) 連結計上されない間接投資の適正価額の再評価 |
x/(x) |
j) 金融資産および金融債務の適正価額の再評価 |
x/(x) |
k) 第三者の建設契約の適正価額の再評価 |
x/(x) |
l) 設立費用 |
x/(x) |
m) 取得費用 |
x/(x) |
n) 契約手数料 |
x/(x) |
想定した売却の決済方法/ビークルの清算方法の効果 | |
o) 譲渡税などの購入者の費用の節約額の適正価額の再評価 |
x/(x) |
p) 繰延税金およびINREV NAV調整の税務効果の適正価額の再評価 |
x/(x) |
q) ネガティブエクイティ(ノンリコース)を有する子会社の効果 |
x/(x) |
その他の調整 | |
r) のれん | (x) |
s) INREV調整の非支配持分の効果 | x/(x) |
INREV NAV | x |
INREV NAVの構成要素としての特定のIFRS債務の再分類
a) 株主のビークルの長期的な持分を示す、株主融資およびハイブリッド資本商品(転換社債を含む)の再分類の効果
投資家の資本は、持分以外にも様々な形態を取ることがある。 例えば、株主融資や転換社債などのハイブリッド資本商品などが挙げられる。持分への参加および株主融資の組み合わせによって構成されるビークルもある。
株主融資およびハイブリッド資本商品は通常、ビークルに対する投資家の全体的な持分の一部を構成するものと見なされる。IFRSに基づくビークルの財務諸表の中で債務に区分された場合、それらはINREV NAVの持分の構成要素として含まれ、そのようなものとして再分類されるものとする。再分類される金額はIFRSの勘定における債務の簿価を反映したものとする。
ビークルの設立時のビークルの資本構造の一部を構成するそのような商品の存在、または持分と同順位の投資家融資および市場外の融資条件は、とりわけ、これらの品目がINREV NAVの一部として再分類されるべきことを示している。
この再分類は、同様の形で分配金についても処理される未収利息を考慮するものとする。
b) 分配されずに債務として計上された分配金の効果
ある状況下において分配金が法的に分配されていないにもかかわらず、債務の一部として計上される場合がある。INREV NAVの決定に関して、これらの未払配当金は純資産価値に変えるものとする。
資産および債務の適正価額
c) 投資不動産の適正価額の再評価
不動産ビークルがコストモデルに基づく投資物件の計上のためにオプションを使用する場合、この調整は、IAS第40号の適正価額のオプションに基づく適正価額への投資物件の再評価の純資産価値に対する影響を表す。
純資産価値において資産が重複してカウントされないよう、リース・インセンティブ、賃料保証、保険請求(損害、逸失賃料等)の定額法の効果は、IAS第40号およびSIC第15号に基づいて適正価額で物件を評価する際に考慮に入れるものとする。
d) 自ら建設または開発した投資不動産の適正価額の再評価
不動産ビークルが、コストモデルに基づいて、自ら建設または開発した投資不動産の説明にオプションを使用する場合、調整はIAS第40号の適正価額のオプションに基づく適正価額に対する、自ら建設または開発した投資不動産の純資産価値の再評価に対する影響を表す。
e) 売却目的で保有する投資物件の適正価額の再評価
投資物件の一部は売却目的で保有している資産または売却目的で保有している資産群に区分される場合がある。かかる投資物件の簿価は、IAS第40号に基づいて選択された会計処理(適正価額またはコストのいずれか)に左右される。
調整は、売却目的で保有している投資物件の純実現可能価値(適正価額から売却費用を引いた金額)に対する再評価(適正価額またはコストで測定)の、純資産価値に対する影響を表す。
f) ファイナンス・リースに基づいてテナントに賃貸している不動産の適正価額の再評価
ファイナンス・リースに基づいてテナントに賃貸している物件は、最初に純投資ベースで測定され、その後、一定の利回り率を反映した償却パターンに基づいて再測定される。
調整は、適正価額に対するファイナンス・リース売掛金の純資産価値に対する再評価の影響を表す。
g) 在庫として保有している不動産の適正価額の再評価
売却目的で保有している物件は、IAS第2号(棚卸資産)に基づいて財務諸表の中でコストまたは純実現可能価値のうち低い方の金額で測定される。調整は、かかる物件の純実現可能価値(適正価額から売却費用を引いた金額)に対する再評価の、純資産価値に対する影響を表す。かかる調整は「在庫として保有している物件の適正価額に対する再評価」の項に含めるものとする。
見込まれる売却日が純資産価値の計算日から1年以上経過した後となる場合、この調整を計算する際に適正価額から売却費用を差し引かないものとする。
h) その他の実物資産投資の適正価額の再評価
IAS第16号に基づくその他の不動産投資は通常、実費で計上される。
調整は、IFRS第13号に基づく適正価額の前提に従った適正価額に対する他の実物資産投資の再評価の純資産価値に対する影響を表す。
i) 連結計上されない間接投資の適正価額の再評価
組合や合弁事業への投資などの間接不動産への投資は、IFRSに基づいて異なる会計処理が行われ、簿価も異なる。かかる投資はコスト、適正価額、または純資産価値で評価することができる。
適正価額で計上されていない場合には、調整は、適正価額に対する間接投資の再評価の純資産価値に対する影響を表す。
j) 金融資産および金融債務の適正価額の再評価(借入債務の適正価額の再評価を含む)
ヘッジ商品または借入債務などの金融資産および債務は通常、適切な場合には減損を考慮の上、償却原価で測定される。適正価額で計上されていない場合、調整は、IFRSに基づいて決定された金融資産および金融債務の適正価額への再評価の純資産価値に対する影響を表す。
さらに、物件の売却の結果、ビークルは銀行債務の償却について費用を負担する場合がある。売却費用についても同様に、これらのコストは通常、IFRSに従って発生することはない。それゆえ、物件の売却が1年以内に行われると予想される場合には、関連する銀行債務の償却は1年以内に行われると予想される。 また銀行債務の期限前弁済費用は純資産価値の中で発生するものとする。
k) 第三者の建設契約の適正価額の再評価
IAS第11号に基づき、通常、第三者の建設契約は完了段階で計上される。調整は、FRS第13号の適正価額の原則に従って、適正価額に対する第三者の建設契約の再評価の純資産価値に対する影響を表す。
1回限りの費用の拡大を反映するための調整
下記に詳細に説明するように、設立費用および取得費用は資本計上され償却されるものとする。これらの調整の根拠は、費用の償却のビークルのパフォーマンスに対する効果をスムーズにするために、これらの費用を所定の期間にわたって拡大することである。さらに、異なる時期にビークルの持分を取得した、あるいは持分を手放した異なる投資家グループの間で費用を拡大する簡潔な仕組みである。
実際に、ビークルが価格設定、評価などの問題に対処する方法はこれ以外にも多く存在する。 これには、設定された割合に基づく純資産価値の額面超過額または償却割引における価格スプレッドの利用、異なる期間におけるかかる費用の資本化および償却、または実際に、ビークルの純資産価値を計算する際に、かかる費用を全く考慮に入れない場合などがある。INREV NAVは異なるビークル間の比較可能性を推進することを主たる目的としているため、INREVのアプローチは簡潔ではあるが固定された方法論である。これらの資本計上された費用は純資産価値の計算が行われるたびに減損されるため、時間の経過とともに回収することができることに留意されたい。設立費用に関する調整がビークルのINREV NAVの計算において別途開示されるので、投資家は保有の評価を行う際にこれらを考慮に入れる方法を選択することができる。
l) 設立費用
IFRSに基づき、ビークルの設立費用はビークルの設立後直ちに費用処理される。
かかる費用は資本計上され、ビークルの期間の最初の5年間にわたって償却されるものとする。
設立費用を資本計上し償却する根拠は、ビークルの経済的メリットの期間をよりよく反映することにある。
設立費用を資本計上して償却する場合で、市場環境が変化し、資本計上された設立費用をビークルの投資口の売却を通じて回収できないことが予想される場合には、調整後純資産価値を計算するたびに、発生しうる減損テストを考慮に入れるものとする。例えば、ビークルの清算を行う決定が下された場合、あるいはステークホルダーがかかる資本計上された費用の経済的メリットをもはや回復することを期待しない場合には、評価損を計上するものとする。
m) 取得費用
取得日以降最初に行われる測定日の時点で適正価額が計算される場合、適正価額モデルに基づいて、投資物件の取得費用は事実上、所得処理される。その結果、その後の適正価額の測定において物件の適正価額は物件の取得価格の総額を下回り、その他は等しくなる。
物件の取得費用は物件の取得から最初の5年間にわたって資本計上され、償却されるものとする。
取得費用の資本計上および償却の根拠は、これらの費用についてビークルへの経済的メリットの期間をよりよく反映することにある。
取得費用を資本計上して償却する場合で、市場環境が変化し、資本計上された取得費用をビークルの投資口の売却を通じて回収することができないことが予想される場合には、調整後純資産価値を計算するたびに、発生しうる減損のテストを考慮するものとする。償却の期間中に物件が売却された場合、または売却目的で保有される物件に区分される場合には、かかる物件の資本計上された取得費用の残額は費用として計上するものとする。
n) 契約手数料
債務とは、過去の出来事の結果として発生した現在の義務をいう。ビークルの運用期間の最後またはビークルの運用期間中の他の時期に支払うべき手数料は、報告日に、IFRSに基づく引当金または債務として認識する基準を満たさない場合がある。
かかる手数料の例として、契約上の取り決めによる現在の義務であるパフォーマンスフィー、売却手数料、清算費用などが挙げられる。
これら手数料の大半は通常、IFRSの会計原則に従って発生する。調整は、これらの手数料がIFRSに基づいて作成された財務諸表の中でまだ計上されておらず、発生する可能性がある場合に、ビークルの現在の純資産価値に基づいて支払うべき想定される契約手数料の額の純資産価値に対する影響を表す。調整の金額を決定するために、引当金または繰り延べ債務の測定に関するIFRSの基準(認識の基準は必ずしも必要でない)を参照するものとする。
計算の方法論の説明および基礎となる契約の条件を開示するものとする(または、かかる契約および契約条件が説明されている関係者の開示資料に言及する)。
想定した売却の決済方法/ビークルの清算方法の効果
o) 譲渡税などの購入者の費用の節約額の適正価額の再評価
物件の取得時に購入者が負担する譲渡税および購入者の費用は通常、IAS第40号に基づいて投資物件の適正価額を決定する際に控除される。
譲渡税および購入者の費用の控除額を決定する際には、物件を売却する際に売却者が手にすると予想される節約額の範囲内で、物件自体よりも、物件を所有するビークルの持分の意図する売却の効果を考慮するものとする。
それゆえ、調整は、物件を所有するビークルの持分の意図する売却に基づいて売却者のメリットとなる譲渡税および購入者の費用の起こりうる控除の、純資産価値に対するプラスの影響を表す。
マネジャーが意図する売却戦略から手にすると予想する金額の想定方法についての開示を行うものとする。現在の仕組みおよび今後の市況の双方に言及するものとする。
p) 繰延税金およびINREV NAV調整の税務効果の適正価額の再評価
IFRSの下では、繰延税金資産および債務は通常、法的税率で測定される。通常、ビークルが繰延税を実現すると想定される方法(不動産の直接売却ではなく、持分の売却を通じて投資物件が売却される場合等)は考慮されない。
調整は、IFRDに基づいて計算される金額と、想定した決済方法を考慮に入れた繰延税の予想額の間の相違の、純資産価値に対する影響を表す(税制および意図する資産および債務の売却方法または決済方法が、実際の租税債務の削減に適用された場合)。
開示には、例えば、物件の所有構造、各国の繰延税の予想に使用される主要な前提や広範なパラメーター、資産の売却のみ(意図する売却方法は考慮に入れない)を想定して推定した場合の最大の繰延税額および用いるおおよその税率をはじめとする、税制の概要を含めるものとする。
不動産売却に関する繰延税を適正価額にするために必要になる調整額の推計は、INREV NAVに大きな影響を及ぼす可能性がある。ビークルによって税制が異なる場合があるため、重大な判断が必要となり、またこの調整のための計算方法論の仕組みがビークルごとに異なる可能性がある。繰延税の全体的な調整に関する他の構成要素は、それほどの判断を必要とせず、本質的に機械的なものである。
この調整には、INREV NAV調整が純資産価値に及ぼす税制面の影響についての十分な評価を含めるものとする。
IFRSと同様に、お金の時間的価値を考慮に入れるために、繰延税金残高は割り引かれない。
q) ネガティブエクイティ(ノンリコース)を有する子会社の効果
IFRSに基づく連結集団の純資産価値には、子会社の引き受けの純債務のポジションが含まれる可能性がある。しかし実際には集団は、子会社の融資がビークルにとってノンリコースである場合には、累積損失に資金を出す法的義務および推定的義務を負わない。
このシナリオでは、完全な純債務ポジションよりもむしろ、集団のかかる子会社の持分をゼロあるいは調整後のマイナス額で認識するために、INREV NAVを計算する際にビークル側でこれらの損失を埋めるための意図または義務が生じない範囲内で、調整を行うのが適切である。
調整は、特定の子会社のネガティブエクイティの全部または一部の戻し入れの純資産価値に対するプラスの影響を示す。ビークルが子会社に株主融資を与えている場合には、それらを考慮するものとする。
その他の調整
r) のれん
事業統合を決定した法人の取得時点において、取得金額の割り当てにより、のれんが発生する可能性がある。多くの場合、不動産ビークルのかかるのれんの主要な構成物は、繰延税と購入者の費用またはIFRSの会計処理(通常は、その後の出口の想定される方法または意図する方法を考慮に入れない)における同様の項目の完全な計上と、実際の購入価格におけるかかる項目に起因する経済的価値の間の相違を反映する。IFRSに従って決定されるように、のれんのかかる構成要素がすでに純資産価値の中で償却されている場合を除き、INREV NAVにおいてこれらを償却するものとする。
s) INREV調整の非支配持分の効果
調整は、上記の調整の全体に対する非支配持分の認識の、純資産価値に対する影響を示している。
株当たりINREV NAVの計算、およびオプション、転換社債、その他の持分の行使の影響計算
INREV NAVは、集団としての投資家による全体的な投資の経済的価値を示している。ビークルの全体的なINREV NAVをエクイティ株主の各クラスに配分する際、および各投資口または持分の価値を決定する際に、1株当たり純資産価値を導き出す上で、マネジャーはビークルの持分保有者または潜在的な持分保有者(オプションの場合)が保有する権利(成功報酬、パフォーマンスフィー、マネジャーの報酬のスキーム、異なるクラスの投資口の条件、純資産価値ウォーターフォール計算、ストックオプション権利等)を考慮に入れるものとする。
ビークルが資本を調達し、資本を必要とする状況下において、拠出金を全額払い込まない投資家もいる。1株当たりのINREV NAVは、要求したものの支払いが行われていない資本を考慮に入れるものとする。
INREV NAVの開示要件
マネジャーは、純資産価値計算に関連した以下の開示を行うものとする。
- GAAP NAVとINREV NAVの間の調整は、ガイドラインNAV03に従って行うものとする。
マネジャーは、投資家がGAAP NAVとINREV NAVの間の調整の構成要素を理解できるように、重要な推定・計算方法を説明するものとする。調整の注記では主要な前提、使用した方法を説明するものとする。 特に以下を説明するものとする。
- 特定の株主の融資またはハイブリッド資本商品の持分の構成要素としての再区分の根拠
- 投資不動産、自ら建設または開発した投資不動産、ファイナンス・リースに基づいてテナントに賃貸している物件、売却目的で保有している投資物件、在庫として抱えている不動産の適正価額の決定の根拠
- その他の不動産資産への投資の推定の根拠
- 非連結間接投資の適正価額の決定の根拠
- 金融資産および債務の適正価額の計算に用いられる方法論の詳細
- 第三者との建設契約の適正価額の推定の根拠
- 契約手数料の適正価額の推定の根拠
- 繰延税金の適正価額およびINREV NAV調整の税効果の推定に用いられる前提の詳細。かかる開示は税構造の概要を示す。 不動産保有構造の詳細、特定の国における繰延税の推定に用いられる主要な前提および広範なパラメーター、資産の売却のみを前提として推定された繰延税の最大税額(意図する売却方法を考慮しない)、および用いられるおおよその税率等。
- ネガティブエクイティ(ノンリコース)を有する子会社の簿価に調整を加える根拠
- 国際会計基準(IFRS)に基づき、投資不動産の適正価額は、不動産を売却する際に売手が負担する費用を考慮に入れていない。IFRSと同様に、売却を目的として保有する場合を除き、INREVガイドラインではかかるコストの引当金を含めるための調整は必要としていない。ただしマネジャーは、現在の市場環境において強要によるものでない出口を想定して、意図する出口方法を考慮の上、不動産の売却時に発生するとみられる売却費用額を推計し、開示するものとする。
- 設立費用 - 該当する場合、減損を計上し、その理由を説明する。
- 設立費用 - 該当する場合、5年間の償却期間からの乖離の理由を説明する。
- 取得費用 - 該当する場合、減損を計上し、その理由を説明する。
- 取得費用 - 該当する場合、5年間の償却期間からの乖離の理由を説明する。
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Q&A
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設立費用と取得費用の資本計上と償却
設立費用と取得費用が資本計上され、5年間にわたって償却される場合における、INREV NAVを決定する際の調整の根拠は何か?不動産ポートフォリオがすでに適正価額で純資産価値の計算に含まれていることを考えると、これらの調整は事業体の純資産価値を膨らませるだけではないか?
INREV NAVの当初の主要な目的は、同業他社とのビークルのパフォーマンスの比較に役立つとともに、投資家レベルでの投資口への投資の会計上の評価に役立つことである。
2007年の当初のINREV NAVプロジェクトを通じて、いくつかのワークショップ、インタビュー、詳細文書のプロセスを経た後に、比較可能性を高めるために、オープンエンド型ビークルおよびクローズドエンド型ビークルの双方に対して1つのINREV NAVを適用することが決定された。一部の調整について、提案された処理は特定の種類のビークルの是正措置に必ずしも結び付かないとの指摘もあった。しかし、異なる種類のビークルのパフォーマンスを測定する際に(例えば、INREVインデックスなど)、すべてのビークルの調整を同じ方法で処理すれば比較可能性は増すだろう。
設立費用/取得費用の資本計上と償却の当初の根拠は、ビークルがこれらの費用の経済的メリットを得る期間をよりよく反映させることである。これはパフォーマンス測定および投資評価の両方に関してである。
このことは、IFRSに従った場合、設立費用はビークルの開始/立ち上げ後速やかに課税されること、また適正価額モデルに従った場合、投資不動産の取得費用は取得日以降の最初の測定において適正価額が計算される際に実質的に収入に対して課税され、いわゆるJカーブを描くという事実によって促された。
パフォーマンス測定
2007年の分析結果に基づき、INREVの意図は、Jカーブのマイナス効果を軽減するために、パフォーマンス測定(INREVインデックスなど)に調整後純資産価値を使用するというものであった。パフォーマンス測定について、異なるビンテージを用いて異なる種類のビークルが比較されるか、または1つのインデックスでベンチマーク化される場合、設立費用と取得費用の処理は、ビークルの運用期間の最初の数年間(取得段階)において、1回限りの費用として処理され、このことはベンチマークに比べてその特定ビークルのアンダーパフォーマンスにつながる。売却段階までの期間については、新規ビークルについて発生したJカーブの効果は全体のパフォーマンスのベンチマークを引き下げるため、ベンチマークを上回ることはさらに容易である。売却段階の間、売却費用の1回限りの効果はビークルの個々のパフォーマンスにマイナスの影響を与えるため、ビークルは一般的にベンチマークを上回る。
投資ビークルの投資口の評価
設立費用と不動産取得費用の償却により、いわゆる「Jカーブ」の効果は投資ビークルの投資口の評価において除去することができる。一部の投資家は評価に調整後純資産価値を用い、当時の別の投資家は、最初の3年間について投資を費用計上していた。 不動産価値の上昇によってIFRS NAVが当初のコスト価格を上回るようになって初めて、IFRS NAVを使用するようになった。
さらに、投資家が、かかる費用は価値を持ち、所期投資の一部を構成するとみなされると考えているとの指摘もあった。これらのコストは、賃料収入からの直接リターンを手にするために、また、できれば決済時に価値の上昇により間接リターンを手にするために、直接発生した。このリターンは投資の保有期間全体を通じて、投資家の元に戻ると考えられる。
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繰延税金債務に関する調整の計算
この調整はどのように計算するべきか?ポートフォリオベースまたはその他の累積ベースで、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される、繰延税金債務の固定比率(50%など)として計算するのは適切か?
この調整の根拠は、IFRS(および他の多くのGAAP)のもとで、繰延税金債務が名目法定税率で評価されることである。ビークルが期待する繰延税金の精算方法は通常、考慮に入れない。したがって、これに基づいて計算される繰入額は繰延税金の適正価額を表すものではない(実際の金額は、不動産資産の売却時に明確にされることが期待される)。
債務の適正価額の調整を計算する際、想定した決済方法に基づいて、調整は資産ごとに評価されるものとする。
それゆえ、各資産について、計算日において不動産にとって適切な市況ならびに意図する売却方法および資産の税構造に基づいて、最も可能性が高い売却形態(例えば、資産取引や株式取引)について考慮するものとする。まだ実現していない市況の将来の変化に基づく売却方法の変更の想定は、INREV NAV調整を計算する目的においては、主観的に過ぎると考えられる。該当する場合、売却に関連する事業体の歴史も考慮するものとする。次に、取引に課される適用税率ならびに評価された決済の方法に従って、繰延税金債務の適正価額を計算する。IFRSはバランスシートの日付時点で成立したまたは実質的に成立した税率のみを使用することを認めている。 一方、バランスシートの日付以降に成立したまたは実質的に成立した税率はINREV NAV調整を計算する目的で使用することができる。
この計算においては、承認される可能性が高い持分取引を通じて売却される不動産の売却価格の割引額を考慮に入れるものとする。例えば、不動産を所有する事業体の持分の売却は非課税(または最低税率)となるが、不動産を所有する事業体内における潜在的なキャピタルゲインについて、売却価格で控除が行われる場合などが考えられる。INREV NAV調整を計算する場合、売却取引において達成されそうな税金に加えて、この金額を考慮に入れるものとする。
それゆえ、これに基づいて上記に概説した固定比率のアプローチは、ポートフォリオの各不動産の繰延税金債務について必要とされる調整の合理的な推計を表さない限り適切でないと考えられる。
調整を二重に計算することを避けるために、調整の計算の全部または一部が、IFRS/現地のGAAPに従ってビークルについて計算される繰延税金債務にまだ含まれていないことを確認することが必須である。不動産の査定に関して、譲渡税についてこの調整とINREV調整の間に二重の計算がないことを確認するよう注意を払うものとする。疑義を避けるために、譲渡税は繰延税金の調整の計算の範囲内に含めないものとする。
それゆえ、この計算の主観的かつ複雑な性質を踏まえて、マネジャーが、計算の方法論について正式な社内方針を文書化し、それを引き続き適切なものとするために、マネジャーが(例えば、税法や市況の変化について)継続的に見直しを行うことが推奨される。全体的な所有構造、主要な前提、各国の広範なパラメーター、慣習的な最大税率(税構造がない場合)および適切な税率(%)など、全体的な税構造についての開示がなされるものとする。
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譲渡税に関する調整の計算
この調整はどのように計算するべきか?IFRS/現地のGAAPに従ってビークルの譲渡税の固定比率(50%など)で調整を計算するのは適切か?
想定した決済方法に基づく不動産評価に固有の譲渡税(および購入者の費用)の控除に対する調整の計算は、資産ごとに評価するものとする。
それゆえ、各資産について、不動産に関連する市況ならびに意図する売却方法、資産の税構造に基づく最も可能性が高い売却形態(資産取引または持分取引等)を考慮するものとする。該当する場合、売却に関する事業体の歴史や売手と購入者の間で合意した税負担の配分を考慮するものとする。これは繰延税金債務の調整の計算の根拠と同一の根拠である。不動産の適正評価において評価された売却方法が譲渡税(および購入者の費用)の引き下げをもたらす場合、INREV NAVを導き出す際にこの調整が行われる。ただし、二重計算を避けるために不動産評価にまだ含まれていない範囲内でのみ調整を含めるものとする。
この理由から、調整を計算する場合には、譲渡税およびその他の購入者の費用を別の構成要素として考慮することが重要である。いずれの場合も、同一の控除は適切でない場合がある。例えば、持分の取引による売却は譲渡税の引き下げにつながる可能性があるが、実際には、そのような取引を完了する上で求められる追加の法的支出や精査の必要性により、購入者の他の費用は増加する可能性がある。
それゆえ、これに基づくと、上記に概説した固定比率のアプローチは、それがポートフォリオの各不動産についての譲渡税と購入者の他の費用の双方について求められる調整の合理的な推計を表さない限り適切でなくなる。
それゆえ、この計算の主観的かつ複雑な性質を踏まえて、マネジャーが、計算の方法論について正式な社内方針を文書化し、それを引き続き適切なものとするために、マネジャーが(例えば、税法や市況の変化について)継続的に見直しを行うことが推奨される。金融情報の利用者が調整に関する計算の方法論を理解できるようにするため、計算する上でマネジャーが立てた主要な前提、マネジャーが予定している構造や市場環境に基づくこの追加価値の利用の仕方とともに、適切な開示を行うものとする。
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組合/合弁事業への投資
IFRS/現地のGAAP会計の中で事業体に関して計上される、事業体による組合/合弁事業への投資を評価する際に、INREVガイドラインをどのように適用すべきか? (持分法または比例連結を用いて)
INREV NAVの目的において、組合/合弁事業における事業体の保有持分の適正価額の経営陣によるベストの推定値を用いるものとする。投資の種類に応じて、これを査定するための評価方法について階層がある。
1. 活発な市場で投資が行われる場合には、計算日における指値で適正価額を計算するものとする。
2. ビークルへの投資で、契約により定められた純資産価値による償還の権利が存在する場合には、この純資産価値がINREVガイドラインと一貫性があるかどうかを問わず、保有持分の評価にこれを用いるものとする。
3. 投資がクローズドエンド型ビークルまたは同様の事業体への投資である場合で、固定された償還価格または上場価格が存在しない場合、INREVガイドラインと合致するように保有持分の適正価額を見積るものとする。
4. 投資のINREV NAVを計算する上で十分な情報が入手できない場合は、例えば最近の比較可能な取引があればそれに基づく見積などの別の評価技法を用いるものとする。
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ポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウント
例えば独立鑑定人の評価報告書にポートフォリオは全体として各不動産の個別鑑定価値にプレミアム/ディスカウントを追加/削除するという記述がある場合に、INREV NAVの計算にポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウントを含めるべきか?
ポートフォリオ・プレミアム/ポートフォリオ・ディスカウントは、調整後INREV NAVに含めるべきではなく、また不動産評価のINREVガイドラインに従って、不動産の適正価額の中に含めてはならない。にもかかわらず、そのようなプレミアムまたはディスカウントを別途開示することが推奨される。
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満期保有デリバティブ
オープンエンド型ビークルについて、満期時にこれらの価値がゼロになるという理由から、デリバティブのヘッジのために時価評価を行う必要はないということは当てはまらないか?
クローズドエンド型ビークルとオープンエンド型ビークルの双方について、調整後INREV NAVはすべてのヘッジング・デリバティブを適正価額で反映するものとする。
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Fee and Expense Metrics
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Q&A
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How should the INREV GAV be calculated for the Total Global Expense Ratio (TGER) and the Real Estate Expense ratio (REER)?
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How do you determine if a service is in lieu of or in addition to third party costs?
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What are the main differences between TGER and TER? Do I need to convert previously reported TERs?
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Should TGER be compared against expense metrics of listed structures / public market vehicles?
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流動性
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イントロダクション
INREVの目的は、ビークルに対して投資を行う際にすべての投資家が流動性の権利を十分に理解できるようにし、流動性の権利を行使する際の非上場不動産ビークルのマネジャー、投資家の間の行動について共通の基準を確立することである。
ビークルの持分の引受方法やビークルの償還方法は、新規および既存の投資家の利害に大きな影響を及ぼす。適切な流動性の仕組みの確立と投資家への開示の監督を、ビークルのコーポレートガバナンス活動の目的のひとつとする。一部の管轄区域では、特定のビークルの仕組みに関連して、法規制または政府規制によってその仕組みが規定される。これらのケースにおいては、権利、義務、プロセスを十分に開示することは、ビークルが投資家にとって適切であることを確実にする上で、依然としてベストプラクティスであると考えられる。
INREVは、欧州の多くの非上場不動産ビークルがさまざまな国の法律に基づいて設立され、統治されていることを認識している。各国の法律と流動性ガイドラインの間の衝突を軽減する取り組みにおいて、流動性ガイドラインの範囲を制限することに注意が払われている。INREVは税務・規制ツールを拡大し、さまざまな対象国のオープンエンド型ビークルに関連する流動性の仕組みに関する情報を含めることを意図している。
個々の投資家にとって流動性の重要性は大きく異なる。それゆえ、ビークルの設立時にこれらのベストプラクティスをどの程度採用すべきかを決定するのは、マネジャーと投資家の役割である。INREVはマネジャーが一つの方針としてベストプラクティスを採用し、ビークルの投資家全員の明示的な同意による要請があった場合に限りベストプラクティスから外れることを期待する。マネジャーは、ビークルの運用期間を通じて、流動性のベストプラクティスの採用レベルを報告するものとする。
その他のINREVガイドラインとの関係
流動性のガイドラインは開示に照準を定めていることから、INREVが公表する他のツールおよび事例と大きく重複している。とりわけ、読者には以下をレビューし、これに準拠することを推奨する。
- コーポレートガバナンスのガイドライン
- 報告のガイドライン
原則とベストプラクティスの構造
流動性のガイドラインは、ビークルの運用期間の自然の流れに関係なく作成されている。
流動性のガイドラインを以下に示す。必要に応じて理解を深めるために追加説明を行う。
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ガイドライン
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流動性の枠組みに関するファンドの資料要件
ビークルの規約とマーケティング資料には、出口戦略の詳細な考慮事項や現行の償還の手続きとともに、通常の環境および例外的な環境における投資家の流動性の権利およびこれらの権利の行使方法を記載するものとする。
ファンドの資料には、全投資家が新規持分発行、償還、セカンダリーマーケット取引、出口など、さまざまな流動性に関わる出来事においてどのように扱われるかを説明する流動性プロトコル文書を含めるものとする。
この文書は、ビークルの運用期間を通じて見直しと改訂を行い、既存投資家および潜在的な投資家に提供されるものとする。
ビークルの規約には、流動性に関するリスク要因の説明を含めるものとする。これには少なくとも、マネジャーが償還時の支払いの延期や償還時の支払い価格調整の権利を完全に行使した場合の投資家の利益への潜在的な影響に関する分析を含めるものとする。オープンエンド型ビークルについては、ビークルが最適な規模に達しなかった場合のリスクを明確に定め、ポートフォリオの組成や流動性イベントに与える影響について特に言及するものとする。
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ビークルの持分の発行
マネジャーは、ビークルを引き受ける可能性がある各投資家タイプについて、マネーロンダリング禁止要件または「顧客熟知」要件を維持するものとする。これはビークルの管理運営に関わるすべての規制対象者(受託者、預託機関、管理者を含む)の要件を反映したものとする。
クローズドエンド型ビークルの新規持分の発行は通常、その時点の純資産価値またはビークルの第1回クロージング後に出資を行う投資家からの平衡支払いという形をもって実費で行われる。
純資産価値アプローチが採用される場合、マネジャーは以下を行うものとする。
- 支払うべき引受プレミアムの特定と計算方法の説明
- 純資産価値が原不動産資産の最新の独立した評価に基づいていることの確認
- マネジャーまたは独立した鑑定人が純資産価値の計算において用いた特殊な前提の特定
原価 + 平衡アプローチを採用する場合、マネジャーは新規に参加する投資家に対して、平衡額の計算方法を示す実例を提供するものとする。
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出資金の償還
マネジャーは、償還価格を独自の判断で設定する権利、または償還価格の主要な構成要素について他者が採用する前提(不動産価格評価等)を開示することを義務付けられる。これらの権利を行使した結果、通常の慣行に変更がある場合は、速やかに投資家に通知するものとする。
マネジャーは、償還金の支払いを延期するすべての権利を開示する義務を負う。そのような権利が行使される状況において、マネジャーは償還を受ける投資家に対して速やかにその旨を通知し、その理由を説明するものとする。
マネジャーが支払いの延期を行う権利を行使する場合、または予想される償還価格を大幅に変更する場合には、償還を受ける投資家は、定められた期間内に償還の要請を撤回する権利を有するものとする。
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持分のセカンダリーマーケット取引
マネジャーは、譲渡に関する要請を考慮する際に、どのような要因を検討するかを定めたセカンダリーマーケット取引に関する方針を文書化する。
この方針は、オープンエンド型ビークルについて、プライマリーマーケットとセカンダリーマーケットにおける発行の潜在的な衝突への対処方法など、全投資家に対する公正さをいかに実現するかを説明するものとする。
マネジャーは、すべての潜在的な投資家について、マネーロンダリング禁止要件または「顧客熟知」要件を定めるものとする。
これは、ビークルの管理・運営に関わるすべての規制対象者(受託者、預託機関、管理者を含む)の要件を反映したものとする。
第三者(潜在的な投資家、募集代理人、第三者取引プラットフォームを含む)に情報を開示する上で機密保持契約が求められる場合、マネジャーは、規約にその旨を記載しなければならない。またその場合、マネジャーは各当事者が常に利用できる標準的な機密保持契約を作成するものとする。
「適格投資家」の明確な定義を規約に組み込み、その居住地、財務力、投資家タイプ(競業の制限など)、最小/最大保有額に関する具体的な規制を明確化するものとする。
創設投資家から優先引受権について要請があった場合は、通知の送達から一定の期間内において、第一優先権に基づいてその草案を作成するものとする。
投資家が権利を行使しないことを選択した場合、売却しようとする投資家は、合意した期間において、当初の募集価格に基づき合意した範囲内で、一般市場で自らの持分を自由に売却できるものとする。
設立時に、譲渡に関する最低限の表明と関連当事者から要請された保証を盛り込んだ譲渡契約草案を提示しなければならない。かかる草案には、随時、マネジャーが合理的に要求する変更が加えられる可能性がある。
譲渡契約の最終的な形式は、買主、売却しようとする投資家、マネジャーを含む全当事者の交渉によって決定することが確認されている。
マネジャーは、ビークルの流動性の仕組みについて最新のプロトコルを維持するものとする。これには、セカンダリーマーケット取引に関する方針が含まれる。
この方針では、セカンダリーマーケット取引に関連してマネジャーが実施するサービス、マネジャーまたはビークルが請求する手数料や費用について説明するものとする。またその方針はマネジャーが売却しようとする保有者および第三者取引プラットフォームが任命した募集代理人とどのように交流するか示すものとする。
マネジャーは、以下を行うものとする。
- 売却においてマネジャーが行うサービス、およびそのサービスについて当事者間で合意された手数料についての妥当な表明および保証に対して合意が得られた場合に、持分の売却を希望する投資家と協力するためにあらゆる合理的な努力を払う。
- 投資家に対して、9.3.7 報告要件に定める情報を含んだ報告書を定期的に提出する。 これには
- セカンダリーマーケットで入手可能な持分が確認された場合、それを可及的速やかにすべての保有者に通知する。マネジャーは売却者の詳細を開示する義務を負わない。
ビークルが少なくとも四半期ごとの外部評価を実施していない場合は、マネジャーは鑑定人、売手側投資家が指名する財務顧問、および/または潜在的な投資家が求める妥当な情報をすべて開示する義務を負うものとする。 その場合、かかる情報の利用を制限する機密保持契約をすべての関係者が締結しなければならない。特定の妥当な状況下においては、マネジャーが売却への同意を拒否するのは合理的である。これには次のものが考えられる。
- ビークルまたはその投資家に課税面で不利益をもたらす場合。
- 規制面でビークルに影響を与える場合。
- 提案された譲受人は財務力不足で責任を果たせない、または十分な保証金を提供する意思または能力がないとマネジャーが判断した場合。
- 譲受人が、マネジャーによるすべての妥当なマネーロンダリング禁止要件に従うことができない場合。
- 提案された譲受人が「適格投資家」の定義に該当しない場合。
マネジャーが自身の見解として、文書または発表において著しく不正確、不十分または誤解を招く情報もしくは規約上の義務の不履行につながる情報を認知した場合、マネジャーは売手側投資家に対して、かかる問題を起こす文書の配布または発表を中断し、および/または内容を修正する発表を行うよう求めることができる。
売手側投資家は、以下を行うものとする。
- 適切な同意が得られた場合、既存の投資家またはその顧問から紹介された潜在的な投資家に対して、最新の年次報告、中間報告、SDDSに定める情報を提供する。この場合、マネジャーは第三者によるいかなる申し立てからも保護されるものとする。ただし、投資家が作成するマーケティング資料の検証に関して、マネジャーが資料開示に協力することを当該既存投資家が期待するのは妥当である。
- マネジャーまたはビークルが売却要請に応える上で負担する第三者費用について、マネジャーを補償する。
- 販売資料に記載されているビークルの記述が事実と異なっていることに起因して発生する費用について、マネジャーとビークルを補償する。
マネジャーは、以下を行うものとする。
- ビークルにおいてセカンダリーマーケット取引を推進するために、マネジャーが提供する意向であるサービス、およびかかるサービスの提供の料金を全保有者に通知する。
- 譲渡に関する要請を考慮する際、どのような要因を検討するかを定めた、セカンダリーマーケット取引に関する政策綱領を公表する。この政策綱領は、オープンエンド型ビークルについて、プライマリーマーケットとセカンダリーマーケットにおける発行の衝突への対処方法など、全投資家に対する公正さをいかに実現するかを説明したものでなければならない。既存の投資家と潜在的な投資家はいつでも自由にこれを入手できるものとする。
- 潜在的な投資家が妥当な範囲でマネジャーのスタッフにアクセスすることを許し、そのスタッフがビークルの戦略の説明し、適切な場合には、妥当な費用を返却することを条件に不動産へのアクセスの手配を行う。
- 売手から要請があった場合、潜在的な投資家(またはそのグループ)が適格投資家として認められない場合はその旨売手に助言する。
- 受け入れ可能と思われる標準的な機密保持契約を求めに応じて提供するか、もしくは妥当な場合、売手側投資家が作成した機密保持契約に盛り込むべき情報を提供する。かかる契約の条件決定に当たり、マネジャーは適切な行動を取るものとする。
- 新規投資家または受託者に求められる情報を特定した、マネーロンダリング禁止要件の声明を維持する。この声明は、ビークルの管理・運営に関わるすべての規制対象者(受託者および管理者を含む)の要件を反映したものとし、要件が包括的なものであることを確実にする。
- 潜在的な投資家に関して自身に提供されたすべての情報を機密情報として扱い、法で求められる場合を除き、同意なしにこれを第三者に開示してはならない。
- すべての有効な書類を受領した後、遅滞なく投資家の登録リストが更新されるよう、あらゆる妥当な措置を講じる。
売手側投資家は、以下を行うものとする。
- ビークルに対する持分またはその一部を売却する意向をマネジャーに通知する。
- ビークルに対する持分の売却活動を開始する前に規約を見直し、その権利と義務を完全に理解していることを確認する。
- 潜在的な投資家の受容性について早期にマネジャーと協議する。
- 売却を意図する管轄区域において売却に課される制限を十分に調査する。
- 募集代理人として行動するよう委任した顧問に対し、売手側投資家が持分の売却を意図する国において、代理人として行動する適切な権限を有していることを確認する。
- 持分の売却に使用される販売資料、およびかかる資料の配布が、ビークルの規約ならびにすべての関連規制要件に合致していることを確認する。
- ビークルの規約に規定される「適格投資家」に対する持分の売却を制限するため、あらゆる妥当な措置を講じる。
- 販売に関する公告において、自身が投資家という立場で発言しているのであって、その発言はマネジャーや他の投資家の見解や意見を必ずしも反映していないことを明確にする。
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ビークルの清算
マネジャーは、資産が売却された段階で、継続債務および、ビークルの最終的な清算の時期に及ぼす影響について逐次、投資家に通知するものとする。継続債務は各プロジェクトへの資本コミットメントの割合および総計で計上するものとする。
マネジャーは、投資家に一旦分配された後に、自身が回収できる資本額に制限を設けるものとする。資本の回収可能期間についても制限を設け、それをファンドの資料および報告書の中で明確に開示するものとする。
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ビークルの運用期間の延長
マネジャーが投資家の同意の下にビークルの期間を延長することを希望する場合、マネジャーは次の情報を全投資家に提供するものとする。
- 現在清算した場合とそれ以降の期間に清算した場合の効果の比較に関する財務分析
- 延期された出口がもたらす影響の完全な評価(債務満期、ヘッジ商品、合弁事業の解消条項等)
- コストへの影響
- 各資産に関する事業計画の改定
- 延長期間におけるマネジャーの任命期間(手数料を含む)の確認。延長期間における手数料について協議を行うことを前提とする。
ビークルの延長が必要であることが明白になった場合、マネジャーは、いかなる場合でもビークルの当初の終了日の少なくとも12か月前までに、できるだけ速やかにビークルの延長の提案を提示するものとする。
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報告要件
マネジャーは、四半期報告および年次報告の中で投資家に対して以下を行うものとする。
- 会計年度において発行された持分、償還された持分、譲渡された持分を示す図表の提出。年度末における未処理の償還または引受の要請、および未処理のロックイン制約も併せて示す。
- 流動化イベントがビークルまたはビークルの純資産価値の価格設定にもたらすリスクの特定。流動化イベントには、持分の流入、償還、契約条項の実際の違反/潜在的な違反が含まれる。
マネジャーは、1人の意思決定者/助言者にコントロールされたいずれか1人の投資家または投資家グループが得る、ビークルの重要決定に対する負の制御のリスクを投資家全員に知らせるものとする。